朝日日本歴史人物事典 「藤原関雄」の解説
藤原関雄
生年:延暦24(805)
平安前期を代表する文人。冬嗣の兄真夏の第5子。天長2(825)年春,文章生試に合格したが,「閑退を好み,常に東山の旧居に在りて林泉を耽愛」し出仕せず,「東山進士」と呼ばれた(『文徳実録』)。淳和上皇はその人となりに感じて再三要請し,優礼をもって近臣に迎えている。淳和から琴の秘譜を賜る一方,その求めに応じて南池院,雲林院(いずれも淳和ゆかりの離宮)の壁に文字を書いた。和歌にも秀で,この期における和歌復興の機運を盛り上げたひとり。詩歌は『経国集』『古今集』に収められる。「東山の旧居」は,「見返り阿弥陀如来」で知られる禅林寺(通称永観堂)となっている。
(瀧浪貞子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報