朝日日本歴史人物事典 「藤原頼宗」の解説
藤原頼宗
生年:正暦4(993)
平安中期の公卿。堀河右大臣と称される。従一位。道長と左大臣源高明の娘明子の長男。寛弘8(1011)年19歳で従三位(非参議)となり昇進を重ね,55歳で内大臣,康平3(1060)年右大臣に至った。他界直前に出家。『古事談』によると,藤原公任の子定頼と中宮彰子(父は道長)のもとにあった好色の女房を愛したが,あるとき定頼が通ってみると先客の頼宗と懐抱中であったので経文を唱えて帰ったが,その声を聴いた女は頼宗に背をむけて泣き,心動かされた頼宗は発心したという。紀貫之,平兼盛と並ぶほどに歌人としてすぐれ,家集に『入道右大臣集』がある。ふたりの娘を女御としたが,皇子は生まれてない。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報