藪をつついて蛇を出す(読み)ヤブヲツツイテヘビヲダス

デジタル大辞泉 「藪をつついて蛇を出す」の意味・読み・例文・類語

やぶをつついてへび

必要もないことをしたために災いを受けるたとえ。藪蛇

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精選版 日本国語大辞典 「藪をつついて蛇を出す」の意味・読み・例文・類語

やぶ【藪】 を=つついて[=叩(たた)いて]蛇(へび)を出(だ)

  1. 不必要な事をしてそのため災いを受けるたとえ。やぶへび。〔和英語林集成初版)(1867)〕

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ことわざを知る辞典 「藪をつついて蛇を出す」の解説

藪をつついて蛇を出す

やらなくてもよいことをしたり、よけいなことを言ったたために災いをこうむるたとえ。また、不用意に何か言ったことで話の流れが変わり、思わぬとばっちりを受けたり、不都合なことが露顕するたとえ。

[使用例] 京都町奉行、山村信濃守へあてて、「〈略〉なにをもってかかる無礼の企てあるか、早々に申し開きありたし」と厳重な抗議が申しこまれた。まさに、藪を突っついて蛇を出した形で、もっとも、怖れていた事態がやって来てしまった。[平岩弓枝呪いの家|1978]

[使用例] 「先生、大学にお戻りになってはいかがです?」と南条は勧めてみた。〈略〉久松は南条の勧めに対して、驚くほど真面目な顔付きになって、「君が一緒にやってくれるなら、考えなおしてもいいがね」と言った。南条はやぶへびになったと苦笑を浮かべ、「先生、僕は大学向きの人間じゃないですよ」[井沢元彦*本廟寺焼亡|1981]

[解説] 藪は低木や竹、雑草などが生い茂ったところで、ほとんど見通しがきかず、歩行することも困難で、一度入るとなかなか外に出られません。そんなところをつついてみても得られるものは何もなく、逆に蛇や虫の類が出てきて、つついた本人が災いをこうむりかねないでしょう。なかなか巧みな比喩ですが、今日の話しことばでは、短縮形の「藪蛇」や「藪蛇になる」が多用され、文章でも全文を引くことが少なくなっています。しかし、本来の形を知ることで、なるほど、そういうことかと納得できる表現といえるのではないでしょうか。

英語〕Let sleeping dogs lie.(寝ている犬を起こすな)

中国〕打草惊蛇(草むらをたたいて蛇を驚かす)

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