行像(読み)ぎょうぞう

精選版 日本国語大辞典 「行像」の意味・読み・例文・類語

ぎょう‐ぞうギャウザウ【行像】

  1. 〘 名詞 〙 仏像立像一つ。古代中国で、歩行する姿にあらわした仏像を車にのせてひきまわしたのがはじめで、のちに同じ形につくった仏像をいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「行像」の意味・わかりやすい解説

行像
ぎょうぞう

もと仏像を車などに乗せて練供養(ねりくよう)することをいい、転じてそれに用いる像をいう。飾りたてた四輪車の上に、仏像を安置する客殿をつくり、こうした車を何台も連ねて街路を練り歩き、夜は灯明を捧(ささ)げて供養する。これは、諸仏、諸菩薩(ぼさつ)が空中を行くとき、こうした荘厳(しょうごん)を施した車に乗って行くという伝承によるもので、北魏(ほくぎ)の平城(大同)、洛陽(らくよう)で盛んに行われた記事が『洛陽伽藍記(がらんき)』にある。とくにまた西域(せいいき)地方でも盛んだったらしく、5世紀の法顕(ほっけん)、7世紀の玄奘(げんじょう)の旅行記にも詳しく記されている。

 日本でも行われたらしいが、現存するものは少ない。兵庫県小野市の浄土寺には、60年ごとに行われる来迎会(らいごうえ)の行像に用いる2メートル余の阿弥陀(あみだ)立像がある。上半身裸形(らぎょう)で、これに衣を着せ、車に安置して引き歩いたもので、大きな像であるがきわめて軽くつくられ、像を支える心棒台座から長く突き出しているのも、そのためである。

[永井信一]

『小杉一雄著『中国仏教美術史の研究』(1980・新樹社)』

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