改訂新版 世界大百科事典 「袋田」の意味・わかりやすい解説
袋田[温泉] (ふくろだ)
茨城県北端,久慈郡大子(だいご)町南部にある温泉。久慈川支流の滝川に臨む。起源は平安時代にさかのぼると伝えられるが,水田の中に自然湧出する状態が長く続き,〈田毎(たごと)の湯〉と呼ばれたという。1936年に現在地でのボーリングが成功し,毎分250lをこえる湧出量をみて多くの温泉旅館が進出した。奥久慈県立自然公園に含まれ,付近に四度滝(よどのたき)の名で知られる袋田滝があり,双方あいまって県北山間部で最大の観光地となっている。袋田滝成立の基盤となった集塊岩層深部の溶岩の余熱によって温められたものと思われ,無色透明の単純泉で,フッ素イオンを含む。泉温38℃。JR水郡線袋田駅からバスの便があり,国道116号線が付近を通る。
執筆者:中川 浩一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報