子嚢(しのう)菌類の子実体(子嚢果)のうち、円柱状子嚢の層(子実層)を裸出しているもので、子嚢盤ともいう。大きさは1ミリ以下のものから20センチに達するものまである。子実層は一般に上向きの表面に形成され、その下には菌糸組織からなる子実下層があり、さらにこれを支えているのは髄と皮層(外壁)からなる子実層床である。裸子器には柄(え)が発達しているものもある。
裸子器を形成するのは真正子嚢菌類の盤菌類で、ビョウタケ類のテングノメシガイは黒い棍棒(こんぼう)形子実体の上半分が子実層で覆われ、子嚢は長い子嚢胞子を一つずつ数秒間隔で約5ミリメートル射出する。チャワンタケ類の子嚢の先端には跳ね返る蓋(ふた)があって、8子嚢胞子をほとんど同時に1~2センチメートル射出する。大きい裸子器では、成熟した数千の子嚢がわずかな環境変化によって同時に射出を行うので、かすかに音を発し、射出されて空中に浮く胞子群が白煙のようにみえる。
[寺川博典]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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