日本大百科全書(ニッポニカ) 「製造派遣」の意味・わかりやすい解説
製造派遣
せいぞうはけん
工場などでの物の製造の業務への人材派遣。2004年(平成16)3月の労働者派遣法改正で解禁された派遣形態である。2007年2月末までは、派遣期間について最長1年間という制限があったが、同年3月からは最長3年となった。1995年(平成7)以降の急激な円高のなかで国内における製造ラインと雇用を残すためには、人件費の調整が容易な製造派遣の解禁が必要だとする経済団体側の主張に従う形で、小泉純一郎内閣時代に規制緩和の一環として行われた。日系ブラジル人をはじめとする海外からの労働者などを雇用することが多かったが、新卒者でも正社員での就職口が見つからないような若者、大企業をリストラされた中高年にとっても重要な働き口となった。ただし2004年以前にも、大企業は「技術者派遣」「設計者派遣」という名目で、単純労働者を派遣する業者にアウトソーシングすることが広く行われており、それを政府が追認したにすぎないともいわれる。
「物の製造の業務」は、物の溶融、鋳造、加工、組立て、洗浄、塗装、運搬などで、部品メーカーを含む自動車製造ライン、電子部品、電気製品などの製造ラインなどがおもな派遣先である。しかし景気動向や会社の業績により雇用される労働者の人数は激しく増減するため、雇用・収入は安定しない。
[編集部]