西安碑林(読み)せいあんひりん(英語表記)Xī ān bēi lín

改訂新版 世界大百科事典 「西安碑林」の意味・わかりやすい解説

西安碑林 (せいあんひりん)
Xī ān bēi lín

中国,西安市の陝西省博物館内にある石刻の陳列所。もとは孔子をまつった文廟後方にあったが,今日では文廟全体が博物館となり碑林も拡張されている。現位置に文廟が建てられたのは,唐末の天祐1年(904)に地方長官の韓建が戦乱のため荒廃した長安城を縮小再興したときで,同時に国子監(唐の国立大学)にあった開成石経(唐の開成2年(837)に完成した儒教経典の石刻)を保存する目的で作ったのが碑林だといわれる。しかし,韓建が文廟を建てたのは実は別の場所で,宋の元祐5年(1090)そこから現位置に移り,碑林も整備されたとする説が有力である。開成石経(114石),唐玄宗の石台孝経をはじめ所蔵石碑は近年大いに増加して,現在は総数2300余。懐仁の集王聖教序碑,顔真卿の多宝塔感応碑,顔氏家廟碑,柳公権の玄秘塔碑など書道史上の名品大秦景教流行中国碑,禹蹟図,華夷図その他歴史地理上の重要資料が少なくない。
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百科事典マイペディア 「西安碑林」の意味・わかりやすい解説

西安碑林【せいあんひりん】

中国,陝西省西安の文廟(孔子廟)にある石碑の収集・保存所。宋の呂大忠が唐の開成石経を置いたのに始まる。革命後博物館として改組され,《大秦景教流行中国碑》《淳化閣帖》の石刻など2300余の資料を集めた中国屈指の博物館となっている。

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