西条郷(読み)さいじようごう

日本歴史地名大系 「西条郷」の解説

西条郷
さいじようごう

射水郡東条郷に対応する郷。礪波となみ郡境に位置する射水郡南西部の国衙領で、戦国期には西条保と称され、本願寺実如下付の石川県珠洲すず正福しようふく寺蔵年未詳八月一〇日の阿弥陀如来絵像に、「□□門徒越中国西条保江尻村、願主釈春正」とある。現高岡市のうち明治二二年(一八八九)成立の西条村地区に相当する。正慶元年(一三三二)九月二三日の関東下知状案(朽木文書)に「越中国西条郷内岡成名田畠」とみえ、郷内に佐々木氏領岡成おかなり名などがあった。岡成名は悪党人召捕の賞として嘉元二年(一三〇四)一二月二日に佐々木氏の支族朽木義綱に給されている。ただし弘長二年(一二六二)以前には足利尾張三郎宗家の所領であった。足利宗家は斯波高経祖父にあたるが、また宗家の父家氏の生母蓮阿名越朝時の女であるから、宗家は蓮阿から岡成名を伝領したのであろう。その所領形成はさらに名越朝時に始まるものであった。すなわち正慶元年一一月二日付関東下知状案(同文書)に「岡成名父祖領知事、承久兵乱之時、地頭・名主大略帰遠江守朝時之刻、各寄附所領、即望補代官職」とあって、承久の乱に際して、岡成氏など多くの越中の在地領主らは北陸道を進んだ優勢な北条(名越)朝時軍になびき、それぞれその所領を朝時に寄進するとともに、朝時の地頭代の地位になることを望んだという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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