南北朝時代の武将。孫三郎、尾張守(おわりのかみ)、修理大夫(しゅりのだいぶ)。法号道朝(どうちょう)。宗氏(むねうじ)(のち家貞か)の子。元弘(げんこう)の変以来足利尊氏(あしかがたかうじ)に従い、越前(えちぜん)守護となり、1338年(延元3・暦応1)新田義貞(にったよしさだ)を討ち滅ぼし、ついで越前を平定。一時若狭(わかさ)守護を兼ねたが、尊氏に冷遇されたため、観応(かんのう)の擾乱(じょうらん)には足利直義(ただよし)に味方した。その後も足利直冬(ただふゆ)にくみしてふたたび背いたが、56年(正平11・延文1)幕府に帰順し、62年(正平17・貞治1)四男義将(よしまさ)を幕府執事(しつじ)に推して後見し、管領(かんれい)とよばれた。66年将軍義詮(よしあきら)に疑われて義将らとともに越前に逃れ、翌年7月13日同国杣山(そまやま)城(福井県南条郡南越前町阿久和)で病没した。なお、弟家兼(いえかね)は奥州探題、二男氏経(うじつね)は九州探題となった。
[小川 信]
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(伊藤喜良)
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南北朝時代の武将。足利宗氏(一名家貞)の長男。通称孫三郎,官途尾張守,修理大夫。法号道朝。元弘の乱以来足利尊氏に従って戦い,1334年(建武1)越前守護となる。36年以来新田義貞の率いる北陸の南朝軍と連戦し,38年(延元3・暦応1)義貞を越前の藤島の戦で倒した。ついで若狭守護を兼ねたが,尊氏に疎まれて守護職を失い,足利直義党の有力者となったが,観応の擾乱(じようらん)中,尊氏に帰順して越前守護に復した。やがて将軍義詮の信任を得た細川清氏と対立し,54年(正平9・文和3)足利直冬党に応じて幕府に背いたが,翌年再び帰参し,清氏が放逐されると,62年(正平17・貞治1)幕府執事となった四男斯波義将を後見して,管領と称せられ,さらに五男義種を侍所頭人・山城守護,嫡孫義高を引付頭人とし,彼らをも後見して権勢を強めた。しかし佐々木道誉らの讒言により66年放逐され,翌年7月越前杣山城中に病没した。
執筆者:小川 信
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1305~67.7.13
南北朝期の武将。宗氏の子。母は長井時秀の女。孫三郎。尾張守・修理大夫。法名玉堂・道朝。元弘の乱以来足利尊氏に属し,建武政権・室町幕府の越前国守護となる。1338年(暦応元・延元3)同国藤島で新田義貞を討ち,のち若狭国守護も兼任。観応の擾乱では足利直義(ただよし)方に属すが,やがて尊氏に帰順。その後足利直冬方に転じ,まもなく尊氏に帰参。尊氏死後,佐々木高氏(京極導誉(どうよ))と結んで執事細川清氏を失脚させ,62年(貞治元・正平17)四男義将(よしゆき)を執事とし,自分は後見して管領と称された。その後対立した導誉与党の勢力を削減しながら斯波氏の基盤を強化,その領国は越前・若狭・越中・山城4カ国に及ぶ。66年,導誉らの反撃で失脚,帰国して越前国杣山(そまやま)城にこもり,翌年病没。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…道元の死後は相続権をめぐる三代相論が起こり,加賀に大乗寺を分立させる結果となって永平寺は衰退に向かった。 建武新政下の最初の守護は新田一族の堀口貞義であったが,1334年(建武1)9月までに足利一族の斯波高経に代わる。足利尊氏の離反によって新政が破れると,越前は南北両朝軍の戦場となった。…
…1337年(延元2∥建武4)瓜生保・重・照・義鑑房らの兄弟が脇屋義助を擁してここに拠り,敦賀金崎(かねがさき)城の新田義貞らに呼応して戦った話は《太平記》等に詳しく有名である。その後66年(正平21∥貞治5)には,室町幕府に背いた斯波高経がこの城に拠り,翌年城中に没し,1474年(文明6)には,台頭する朝倉氏と旧勢力の斯波氏,甲斐氏がここに争った。戦国時代には朝倉氏の家臣河合氏がここに拠ったと伝えるが,詳細は明らかでない。…
※「斯波高経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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