鎌倉幕府の樹立・維持に力を尽した北条氏の名字の地。治承四年(一一八〇)四月二七日、平家追討を命じた以仁王の令旨が「伊豆国北条館」にいた源頼朝のもとに届いた(吾妻鏡)。この頃、頼朝は北条時政の居館である北条館におり、居館は現
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
愛媛県中北部にあった旧市名(北条市)。現在は松山市の北部を占める一地区。1955年(昭和30)北条町は浅海(あさなみ)、粟井(あわい)、河野(こうの)、立岩(たていわ)の4村と合併、1958年市制施行。2005年(平成17)温泉(おんせん)郡中島(なかじま)町とともに松山市に合併。旧市域は、瀬戸内海の斎灘(いつきなだ)に臨み、安居島(あいじま)、鹿島(かしま)などの島々を含む。旧北条市の中心部は『和名抄(わみょうしょう)』の風早(かざはや)郡の地。近世は松山藩に属した。地名は条里制によるとも、中世豪族北条氏に由来するともいわれる。条里制にちなむ地名が多い。沿岸部をJR予讃(よさん)線、国道196号(今治(いまばり)街道)が走り、街道沿いは街村が多く、中心集落の北条辻(つじ)や、その南の柳原(やなぎはら)は近世に在町(ざいまち)として発展し、当時の地割が残っている。平野部は米作のほか野菜、ミカン栽培が盛んであるが、松山市中心街の近郊地として住宅団地の建設も多い。聖カタリナ大学と同短期大学がある。沿岸には漁港が多く、タイやアジ、サバなどの漁獲があり、北条港はその拠点。また紡績、衣類製造なども行われる。海岸一帯と島嶼(とうしょ)部は瀬戸内海国立公園域で、鹿島では野生のシカが生息する。中世には豪族河野氏の居館があった。安居島は内海航行の風待ち港として発展し、海運業を営む者が多い。鹿島の櫂練り(かしまのかいねり)は神輿(みこし)の渡御祭礼で県指定無形民俗文化財。庄(しょう)地区が保管する木心乾漆菩薩(ぼさつ)立像、木造菩薩立像は国指定重要文化財。国指定天然記念物にエヒメアヤメ自生南限地帯がある。
[横山昭市]
鳥取県中央部、東伯郡(とうはくぐん)にあった旧町名(北条町(ちょう))。現在は北栄町(ほくえいちょう)の東部を占める地区。日本海に臨み、北条砂丘が広がる。旧北条町は1954年(昭和29)中(なか)北条、下(しも)北条の2村が合併して町制施行。2005年(平成17)10月大栄町(だいえいちょう)と合併し、北栄町となる。JR山陰本線、国道9号、313号が通じる。伯耆(ほうき)国府の北の条里にあたり、条里遺構がみられる。また縄文・弥生(やよい)期の島遺跡、国の重要美術品の埴輪鹿(はにわしか)が出土した土下(はした)古墳群をはじめ、多くの遺跡がある。産業では動力砂地灌漑(かんがい)による砂丘ナガイモやラッキョウ、ブドウ、タバコ栽培と北条ワインが有名。洋画家前田寛治(かんじ)、禅師日置黙仙(ひおきもくせん)の出身地。
[岩永 實]
『『北条町誌』(1974・北条町)』
茨城県つくば市北部の地区で、旧筑波町(つくばまち)の中心市街地。もと筑波郡北条町。筑波山地の多気山南麓(たけやまなんろく)にあり、小田(おだ)氏、真壁(まかべ)氏の居城、のち土浦(つちうら)藩領となった。寛永(かんえい)年間(1624~1644)開通の筑波山参道の起点としてにぎわった。
[櫻井明俊]
兵庫県中南部、加西市(かさいし)の中心地区。旧北条町。北条鉄道が通じる。酒見寺(さがみでら)の門前町であり、それに宿場町的性格が加わって発達した。酒見寺旧境内の424体の石仏群は「北条の五百羅漢(らかん)」として知られる。また、春に行われる北条節句祭りは播磨(はりま)三大祭りの一つとされている。
[編集部]
新潟県柏崎市(かしわざきし)東部の地区。旧北条町。八石(はっこく)山地の峠越えの宿場町で、中世は北条氏の城下町。中央を鯖石(さばいし)川の支流の長鳥(ながとり)川が流れており、谷筋は旧柏崎街道の通り道で、現在はJR信越本線がこれにかわっている。谷口の広田温泉は、湯治場として知られる。
[山崎久雄]
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…地頭支配の強化は荘園領主支配と対立するようになり,1240年(仁治1)には領家と地頭時茂との間に和与が成立し,年貢米100石,御服綿10両(代銭納の場合は60貫文余)を地頭が納めることで地頭請所となった。77年(建治3)地頭時茂は孫3人に奥山荘を北条(きたじよう),中条(なかじよう),南条に3分して与え,それぞれが惣領を立てることになった。以後奥山荘の三浦和田一族は典型的な惣領制を展開しながら荘内の支配にあたったが,しばしば一族間に係争を生じ,訴訟をくりかえした。…
…古くから開けた地で古代の条里制の遺構が残り,水守(みもり)は平将門の乱で反将門軍の拠点となった。北条付近の多気(たけ)には平安時代に大掾(だいじよう)氏が拠ったが,鎌倉初期に小田氏に追い落とされた。小田氏が築いた小田城では南北朝期に北畠親房が《神皇正統記》を著している。…
※「北条」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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