西門慶(読み)せいもんけい(その他表記)Xī mén Qìng

改訂新版 世界大百科事典 「西門慶」の意味・わかりやすい解説

西門慶 (せいもんけい)
Xī mén Qìng

中国小説水滸伝》に登場する無頼漢で,悪事がばれて豪傑武松に殺されるが,小説《金瓶梅》では主人公として登場。ありとあらゆる不正な手段色欲と金欲とをほしいままにしたあげく,ついには官位をも金で買って権勢をふるうが,第5夫人の潘金蓮が飲ませた淫薬によって頓死し,西門一族は没落する。人間の欲望をほとんど極限まで体現させた,中国文学における異色の人間像である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西門慶」の意味・わかりやすい解説

西門慶
せいもんけい
Xi Men-qing

中国,明の長編小説金瓶梅』の主人公。宋の徽宗時代山東省清河県の豪商で,あらゆる不正手段で富と権勢を手にし,書名のもととなった潘金蓮,李瓶児,龐 (ほう) 春梅をはじめ数々の女性と淫蕩の限りを尽すが,媚薬を飲みすぎて 33歳の若さで世を去る。『水滸伝』の西門慶が武松の兄嫁潘金蓮と密通する情事場面が『金瓶梅』の発端となっている。色欲を追い求める性格を極限にまで増幅した人物であり,時代を宋に仮託しながらも明末万暦を思わせる爛熟した社会相のなかで,あらゆる価値を「銀」に一元化する生き方は,欲望の道学的束縛を打ち破った新しいタイプといえる。

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