家庭医学館 「覚醒剤急性中毒」の解説
かくせいざいきゅうせいちゅうどく【覚醒剤急性中毒 Acute Methamphetamine Poisoning】
精神興奮薬(せいしんこうふんやく)のうち、日本で覚醒剤といっているのは、メタンフェタミン(ヒロポン、俗称「シャブ」)で、日本では市販されていないのですが、エフェドリンなどを原料に密造されたものが暴力団などを介して出回っています。
[症状]
メタンフェタミンなどの精神興奮薬を大量に摂取すると、急性中毒がおこります。
不安、興奮、頻呼吸(ひんこきゅう)、不穏、幻覚、震え、舞踏病(ぶとうびょう)、けいれん、昏迷(こんめい)、昏睡(こんすい)などの中枢神経(ちゅうすうしんけい)症状がおこります。
体温上昇、発汗、瞳孔拡大(どうこうかくだい)、排尿障害、尿閉(にょうへい)などの交感神経症状や吐(は)き気(け)・嘔吐(おうと)、下痢(げり)などの消化器症状もおこります。
幻視(げんし)、幻触(げんしょく)、幻嗅(げんきゅう)、関係妄想(かんけいもうそう)、錯覚などが現われ、統合失調症とまちがわれることもあります。
[治療]
初期治療(「医師が行なう中毒の初期治療」)の胃洗浄、吸着剤や下剤の使用、強制利尿(きょうせいりにょう)や血液浄化を行ないます。
けいれんなどの中枢神経刺激症状には、ジアゼパムを注射、舞踏病(ぶとうびょう)などの異常運動には、ジアゼパム、クロルプロマジンが有効です。
強い幻覚・不穏には、ドロペリドールかハロペリドールを注射します。
ミオグロビン血症がおこっていれば輸液、フロセミドの注射、マンニトールの点滴などを行ないます。