言掛(読み)いいかけ

精選版 日本国語大辞典 「言掛」の意味・読み・例文・類語

いい‐かけいひ‥【言掛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人に向かって話を仕掛けること。話し始めること。
  3. 話を始めて、その途中であること。話しかけ。
  4. 無実のことを、その人の責任として責め立てること。言いがかり。なんくせ。
    1. [初出の実例]「身共を田舎者じゃと思ふて云かけをしおるか」(出典:虎寛本狂言・饅頭(室町末‐近世初))
  5. なぞなぞ」の問いかけの言葉。その解答を「心」というのに対するもの。
    1. [初出の実例]「『心はさつまの守』『それは云かけで合点じゃ。其さつまの守の心をおしやれといふに』」(出典:虎寛本狂言・薩摩守(室町末‐近世初))
  6. 和歌連歌俳諧などで用いられる修辞法の一種。同音であることを利用して、一語に二つの意を兼ねさせるもの。掛詞。
    1. [初出の実例]「同じくうたひは、〈略〉いひかけ、秀句、枕ことば、上略、中略、下略、字なまりども多し」(出典:わらんべ草(1660)二)

いい‐がかりいひ‥【言掛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いったん言い出したために、あとに引けなくなること。また、言い合って互いに意地になること。
    1. [初出の実例]「間(あひ)の所、早鼓にて出んと云。小左衛門は早鼓にて無しと争ふ。〈略〉されども、云がかり、今は早鼓うたでも出、又うたせても出、かわりがわりにする」(出典:四座役者目録(1646‐53)下)
  3. 人を責め困らせるために言い立てる、事実無根口実。なんくせ。いいかけ。
    1. [初出の実例]「イヤ、おのれは最前から色々の云掛をする」(出典:虎寛本狂言・居杭(室町末‐近世初))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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