早鼓(読み)ハヤツヅミ

デジタル大辞泉 「早鼓」の意味・読み・例文・類語

はや‐つづみ【早鼓】

能・狂言囃子事はやしごとの一。大鼓小鼓による急テンポの演奏で、この間に前ジテなどが退場し、すぐに間狂言が登場するもの。「橋弁慶」「鉢木はちのき」などに用いる。また、歌舞伎下座音楽・長唄囃子でも流用される。

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精選版 日本国語大辞典 「早鼓」の意味・読み・例文・類語

はや‐つづみ【早鼓】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 能で、大小の鼓ではやす急調子の演奏。能で事件発生によって急を要する場面に多く、シテ・ワキの中入(なかいり)から間狂言(あいきょうげん)の登場までに用いる。「鉢木」「土蜘蛛」など。また、登場だけの場合は、「国栖(くず)」の間狂言、退場だけの場合は「鉄輪(かなわ)」の特殊演出でシテが行なう。〔わらんべ草(1660)〕
  3. 歌舞伎の下座音楽。能の囃子からとった名称で、シテの中入の送りこみに用いる。所作物や荒事に用いる。「舟弁慶」「土蜘蛛」など。また、早打の登場にも用い、「鳴神」の白雲坊・黒雲坊の出や、「道成寺」の聞いたか坊主の出にも流用される。俗に「トヒヨ」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の早鼓の言及

【出入事】より

…謡(うたい)がなく囃子と所作から成る囃子事小段のうち,立方(たちかた)の登・退場に用いられるものの総称。登場に用いるものを〈出端事(ではごと)〉,退場に用いるものを〈入端事(いりはごと)〉と呼ぶが,〈来序(らいじよ)〉や〈早鼓(はやつづみ)〉のように,その前半で前役のシテ,ツレなどが退場し,後半でアイなどの後役が登場するものもある。 出端事は種類が多いが,おもに大鼓(おおつづみ)・小鼓(こつづみ)で奏される大小物と,太鼓が加わる太鼓物,その他のものの三つに大きく分けられる。…

※「早鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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