改訂新版 世界大百科事典 「診断薬」の意味・わかりやすい解説
診断薬 (しんだんやく)
diagnostic drugs
疾病の診断や臓器の機能検査に用いられる医薬品。X線造影剤,一般検査用試薬,血液検査用試薬,生化学的検査用試薬,免疫血清学的検査用試薬,細菌学的検査用剤,機能検査用試薬およびその他の診断薬に分類される。(1)X線造影剤 消化管の造影には硫酸バリウム製剤が用いられ,その他,血管,気管支,胆囊,子宮・卵管,泌尿器,脊髄,脳室などの造影には各種ヨード製剤が多く用いられている。(2)一般検査用試薬 尿定性試薬としては通常1枚の細いステックに数種の検査項目を組み込んだ試験紙が用いられ,pH,タンパク質,糖,ケトン体,潜血,ウロビリン,ビリルビンなどが調べられる。このほかに先天性代謝障害やアセトン・アセト酢酸の尿検査用試薬および糞便中の潜血検出用の試薬なども含まれる。(3)血液検査用試薬 検査用血液の凝固防止剤,各種の血液凝固能検査用試薬,およびヘモグロビン測定,血液像・骨髄液検査用の試薬などがある。(4)生化学的検査用試薬 血清中のカリウム,カルシウム,マグネシウム,銅,鉄などの測定に用いられる各種の無機質検査用試薬,血清中あるいは尿中のタンパク質や尿素成分の検査用試薬および血清中の糖質,脂質,酵素などの検査用試薬がある。(5)免疫血清学的検査用試薬 癌,梅毒,妊娠,リウマチ疾患,アレルギー性疾患,ウイルス性肝炎,結核や溶連菌感染症などの診断用各種試薬がある。(6)細菌学的検査用剤 嫌気性菌,ウェルシュ菌,ブドウ球菌,緑膿菌などの培地,細菌感受性試験用の試薬,尿路感染症検査用の試薬,菌鑑別用の試薬などが含まれる。(7)機能検査用試薬 胃液や胆道,膵臓などの機能検査,血液循環時間や循環血液量の測定,および各種内分泌機能検査に用いる試薬,各種の肝機能検査用試薬および腎機能検査用試薬などがある。(8)その他 眼検査用試験紙や試薬,神経組織染色用試薬,臨床化学分析用管理血清,および子宮鏡検査用灌流液などがある。
→造影剤
執筆者:柳田 知司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報