日本大百科全書(ニッポニカ) 「証券総合口座」の意味・わかりやすい解説
証券総合口座
しょうけんそうごうこうざ
証券会社の有価証券口座とMMF(Money Market Fund)などのファンド口座を一体化したうえで、クレジットカード機能や資金自動振替機能等を付加した総合金融サービス。アメリカでは1975年5月1日に、いわゆる「メーデー」とよばれる金融制度改革が実施された。証券総合口座は、この改革で株式売買委託手数料の自由化が実施された翌年、それに伴う手数料収入減への対応の一環としてメリルリンチ社Merrill Lynch & Co., Inc.により開発され、1979年9月から個人投資家向けに販売された商品である。
メリルリンチ社が販売した商品名はキャッシュ・マネジメント・アカウント(Cash Management Account=CMA)という名称で、最低口座開設資金は2万ドル、年間会費は100ドル、クレジットカード年会費25ドルと、比較的手軽に利用できる条件で提供されたため、顧客数・預り資産ともに急拡大を示した。このため、CMAの成功に刺激されて、メリルリンチ社以外の証券会社も追随する形で同様のサービスを行った。
日本においては、1997年(平成9)10月に、日本版金融ビッグバンによる規制緩和の一環として解禁された。証券総合口座は、決済機能をもつことで、証券会社の口座でありながら給与・年金の振込み、クレジットカード代金や公共料金の自動引落しなども可能であり、証券担保融資のサービスも付随するなど、利用者の利便性はきわめて高い。現金の出し入れは、普通預金的な機能をもつMRF(Money Reserve Fund)から証券会社のATM(現金自動預金支払機)を通じて行われる。1998年9月以降は給与の直接振込みも可能となった。
[高橋 元]