調ず(読み)チョウズ

デジタル大辞泉 「調ず」の意味・読み・例文・類語

ちょう・ず〔テウず〕【調ず】

[動サ変]
ととのえる。調達する。
風衣とんびがっぱの旅服を―・ぜり」〈魯文西洋道中膝栗毛
料理する。調理する。
若菜など―・じてやと」〈・若菜下〉
祈って怨霊や物のを退散させる。調伏ちょうぶくする。
験者の物の怪―・ずとて」〈二五
なめてかかる。ばかにする。
「かやうのものをば、かまへて―・ずまじきなり」〈宇治拾遺・三〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「調ず」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐・ずテウ‥【調】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
  2. とりしらべる。吟味する。調査する。
  3. ととのえる。こしらえる。つくる。調達する。調製する。
    1. [初出の実例]「みちのくにへまかりける人に扇てうじて歌絵にかかせ侍りける」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)離別・一三二四・詞書)
  4. 料理する。調理する。
    1. [初出の実例]「西河よりたてまつれる鮎、ちかき河のいしぶしやうのもの、御前にててうしてまゐらす」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
  5. 神仏の力によって、悪魔などを取り除く。邪気などを祈り伏せる。調伏(ちょうぶく)する。
    1. [初出の実例]「験者の物のけてうずとて〈略〉、せみの声しぼりいだして誦みゐたれど」(出典:枕草子(10C終)二五)
  6. 悪事などをはたらいた者を、きびしく戒める。懲らしめる。懲ず。
    1. [初出の実例]「くらもちの皇子、血の流るるまで調せさせ給ふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  7. からかう。ばかにする。嘲す。
  8. 人や動物などを訓練する。調練する。
    1. [初出の実例]「暁を侵して門外へ出て馬を調(テウ)す」(出典随筆・孔雀楼筆記(1768)二)

調ずの補助注記

の「竹取」例は、尊経閣本には「ちゃうせさせ」とあるので、「打ず」とも見られる。中世以前では、「ちゃう」「てう」に発音上開合の別があるので、本辞典では「尊経閣本竹取」の例は「打ず」とした。

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