日本大百科全書(ニッポニカ) 「調剤技術料」の意味・わかりやすい解説
調剤技術料
ちょうざいぎじゅつりょう
医師が調剤を指示した処方箋(しょほうせん)をもとに、保険薬局などで薬を調剤する際にかかる費用の一部で、薬剤師の調剤作業に対して支払われる報酬である。薬の代金である薬剤料やこの調剤技術料のほかに、薬剤についての情報提供と服用指導をした際の薬剤服用歴管理指導料などをまとめて調剤報酬とよぶ。
調剤技術料はおもに調剤基本料と調剤料で構成されている。調剤基本料は文字通り薬の調剤を行うことにかかる基本料金であり、これはそれぞれの薬局が扱う処方箋の数によって異なったものになる。たとえば特定の医療機関のもっとも近い場所に位置し、その医療機関からの処方箋を受け付ける割合が一定の比率を超えている場合などは、調剤基本料が引き下げられる。
調剤料とは、薬剤の種類によってそれぞれ料金が決まっており、また処方される日数によって報酬額が変化する。薬剤の種類には、内服薬、頓服(とんぷく)薬、外用薬、注射薬などがあり、外用薬など調剤が安易で手間のかからないものの調剤料は安く、内服薬や頓服薬など調剤技術が必要で手間のかかるものは高く設定されている。
同じ処方箋を持って行っても、調剤薬局によって料金に差が出るのは、調剤技術料のなかに基準調剤加算と後発医薬品調剤体制加算が認められていることによる。これは、かかりつけ薬局の推進や後発医薬品調剤比率の向上など、医療費削減を目的とする国の施策によるところが大きい。基準調剤加算は、常備医薬品の数も豊富で、在宅療養患者への調剤を24時間受け付けられる、いわゆるかかりつけ薬局の体制が整っている場合に、その体制の整備内容に応じて2段階に分けて加算が認められる。さらに夜間や休日などに調剤を受け付けた場合には、夜間・休日等加算が認められる。後発医薬品調剤体制加算は、ジェネリック医薬品に切り替えた調剤数が多い薬局ほど加算の比率が高くなるしくみになっている。
[編集部 2017年1月19日]