護教学(読み)ごきょうがく(英語表記)Apologeticum ラテン語

精選版 日本国語大辞典 「護教学」の意味・読み・例文・類語

ごきょう‐がくゴケウ‥【護教学】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 宗教への非合理性、非科学性の非難に対して、宗教は超理性であっても反理性ではないことを弁明するための神学の一分野。
  3. キリスト教神学の一分野。キリスト教外の世界に対して、キリスト教の真理性を弁明、擁護すること、また、その弁明の理論、方法に関する学をいう。二~三世紀、ユスティース、テオフィリスらによって始められた。護教論弁証学

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「護教学」の意味・わかりやすい解説

護教学
ごきょうがく
Apologeticum ラテン語
apologetics 英語

キリスト教信仰の真理・正当性を異教徒の非難に対して弁明し、擁護するキリスト教思想家の営為。2世紀初めから3世紀初頭にかけて一連の護教家あるいは弁証家とよばれる人々が活躍した。たとえばユスティノスタティアヌステオフィルステルトゥリアヌスなどである。彼らは若き日にギリシアローマの古典的教養を身につけ、それぞれ精神的遍歴を経てキリスト信仰に回心したために、異教徒に対する弁明はきわめて知性的で明解である。このように信仰の理性的根拠を問い求める思索は、まさに、「知解を求める信仰」という課題を担い、中世キリスト教全体の歴史を貫く。護教学は、信仰と理性、キリスト教と文化との関係を明らかにするという広範囲な任務をもたざるをえない。

[中沢宣夫]

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