テオフィルス(その他表記)Theophilus Presbyter

改訂新版 世界大百科事典 「テオフィルス」の意味・わかりやすい解説

テオフィルス
Theophilus Presbyter

11世紀末から12世紀初頭にかけて活躍したドイツのベネディクト会修道士。生没年不詳。金工家ロゲルスRogerus von Helmarshausenと同一視されている。生涯は明瞭でないが,ヨーロッパ各国を旅行し,また各地方の種々のアトリエを訪問し,その結果を《諸技芸大要Diversarum artium schedula》にしたためた。この書は,絵具製法,種々の絵画技法,ステンド・グラス製法,モザイク技法,金工細工などについて言及し,当時の技術,芸術技法を知るうえで貴重な文献になっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオフィルス」の意味・わかりやすい解説

テオフィルス
Theophilus

[生]?
[没]842.1.20. コンスタンチノープル
ビザンチン皇帝 (在位 829~842) 。ミカエル2世の息子。教養が高く,イスラム文化と芸術に傾倒ハールーン・アッラシードの影響を受けた。また衰退していたコンスタンチノープル大学も再興。他方聖画像破壊令を支持し,違反者を厳罰に処した。バイキングマジャール人に対抗し,北方の国境防衛に努め,また小アジアのテマ・パフラゴニア,カルディアなどの整備に努力した。しかしイスラムの侵攻東西に受け,パレルモ (831) ,アンカラ (838) を失った。

テオフィルス
Theophilus

『諸芸提要』 De diversis artibus (1110~40頃) の著者として有名な,12世紀ベネディクト派のドイツ修道士。現在パデルボン大聖堂宝物庫にある携帯用祭壇を造った (1100) 修道士ヘルマルスハウゼンのロジェと同一人とする説もある。『諸芸提要』では絵画,ステンドグラス,金工などの技法を詳述し,ヨーロッパで初めて紙と油絵法についても言及している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテオフィルスの言及

【法学提要】より

…一般には法学入門書を意味し,ローマ古典期法学者の何人かの著作があるが,その中で,私法を人,物,訴訟に区分しその順序で理解しやすく叙述したガイウスの《法学提要》4巻がとりわけ重要である。ユスティニアヌス1世は法典編纂に際し,ガイウスのそれをもとに,その後の法の変更を併せ考慮した《法学提要》4巻をテオフィルスおよびドロテウスに作成させ,533年学説彙纂と同時にこれに法的効力を付した。なお,今日,学説彙纂の用いたパンデクテン方式に対比して,《法学提要》にならって人,物,訴訟の区分により編纂された法典は,インスティトゥーティオーネン式と呼ばれ,19世紀初頭の代表的私法典であるオーストリア民法典,フランス民法典はともにこれに属する。…

※「テオフィルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android