俳諧発句合(はいかいほっくあわせ)。1冊。宗房(むねふさ)(芭蕉(ばしょう))判。1673年(寛文13)刊。三十番俳諧合。書名は、古くからある女子の遊戯「貝おほひ」の、あわせて勝負をみるところから由来。作者は伊賀上野(いがうえの)(三重県)の人々で、判者は芭蕉。上野の天満宮に菅公(かんこう)770年忌を期して奉納され、江戸で出版された。序に「小六(ころく)ついたる竹の杖(つゑ)、ふしぶし多き小歌にすがり、あるははやり言葉の……」とあるように、判詞は、当時遊里や巷間(こうかん)で流行した小唄(こうた)や、伊達者(だてもの)の六方詞(ろっぽうことば)などを自由奔放に用い、洒脱(しゃだつ)軽妙につくられている。芭蕉の句は「きてもみよ甚べが羽織花ごろも」「女(め)をと鹿(じか)や毛(け)に毛がそろふて毛むつかし」の2句。全体に遊蕩(ゆうとう)的な気分が横溢(おういつ)しており、青年期の芭蕉や社会風潮をうかがうに足るものがある。
[雲英末雄]
『杉浦正一郎著『芭蕉研究』(1958・岩波書店)』▽『井本農一・堀信夫校注『古典俳文学大系5 芭蕉集』(1970・集英社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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