負田(読み)ふでん

精選版 日本国語大辞典 「負田」の意味・読み・例文・類語

ふ‐でん【負田】

  1. 〘 名詞 〙 平安中期以後、負名(ふみょう)正税納入を請け負う田地
    1. [初出の実例]「大田犬丸負田」(出典:東大寺文書‐永承元年(1046)大和国大田犬丸負田結解)

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改訂新版 世界大百科事典 「負田」の意味・わかりやすい解説

負田 (ふでん)

租税雑役年貢・公事等を出す責務を負っている田地のことをいうが,租税あるいは年貢を納入する責任者(負名)の名前を付し“某負田”と称するのが普通である。この場合,負田は〈名(みよう)〉または〈名田〉とも称される。たとえば,大和国広瀬郡にあった大田犬丸負田の結解(けちげ)状をみると,1046年(永承1)から50年までのものは〈大田犬丸負田〉と記されているが,52年のものは〈大田犬丸名〉,翌53年(天喜1)のものは〈大田犬丸名田〉と記されており,翌54年のものはまた〈大田犬丸負田〉にもどっている。平安時代公領の場合には負田の用例が多くみられるが,鎌倉時代以降は漸次みられなくなる。とくに荘園内においては,名または名田の用例が一般的であり,負田という言葉が使用されることはあまりなかったと思われる。

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