正税(読み)しょうぜい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「正税」の解説

正税
しょうぜい

大税ともいう。古代,国衙に収められた租稲。広義には地方財政にあてられる田租をいい,狭義には公廨稲 (くがいとう) ,雑稲に対して利を取る目的で人民に貸し与える公出挙 (すいこ) 稲をいう。例用,臨時用などがあった。例用とは国の恒例の年中行事の費用にあてるもの,臨時用とは太政官符によって特定の人物に与えたり,交易して進上する絹,綿などの料にあてたり,また窮民に賑給 (しんごう) したりするものである。税は国司が交代するときには,その任期中の欠損は補填するものとされていたが,令制がゆるむにつれて,次第に行われなくなった。 (→正税帳 )  

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精選版 日本国語大辞典「正税」の解説

しょう‐ぜい シャウ‥【正税】

〘名〙
① 令制で諸国が備蓄した田租。租は国・郡の正倉にとどめられて国の財政をまかなうのに用いられた。令制崩壊後は、領主のもとに納める年貢の米をさした。大税。おおちから。
※続日本紀‐大宝元年(701)一〇月戊申「勿当年租調并正税利
※平家(13C前)七「路次にもてあふ権門勢家の正税(シャウゼイ)〈高良本ルビ〉、官物をもおそれず、一々にみなうばひとり」
② 定まった国税。一定の年貢。
※草莽事情‐五号(1877)「偶官の保護するは則ち正税若干を消費する者なれば」

せい‐ぜい【正税】

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百科事典マイペディア「正税」の解説

正税【しょうぜい】

日本古代,国郡などの正倉(しょうそう)に蓄積された租。大税(たいぜい)とも。大,正は官有の意。毎年一定量を出挙(すいこ)して,その利息を国郡の行政費に充てる。国司が作成して中央に送る正税の収支決算書を〈正税帳〉という。奈良初期に正税蓄積量は年間租収入の20〜30年分に達したが,やがて造寺・造都事業による消費や公廨稲(くがいとう)制度による国司への分配のために減少し始め,平安中期には律令国家とともに消滅した。
→関連項目公文正倉覇流村水沼村役夫工米

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旺文社日本史事典 三訂版「正税」の解説

正税
しょうぜい

律令制において,諸国の正倉 (しようそう) に貯蔵され,地方の財源となった稲
田租として徴収され,大税ともいわれた。一部を出挙 (すいこ) し,その利息を地方の費用にあてたり,官物の不足を補った。のち公出挙稲・公廨稲・雑稲に分けられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「正税」の解説

正税
しょうぜい

古代、律令制(りつりょうせい)下において人民から国庫に徴した田税(でんぜい)。大税、官稲ともいう。その1年間の収支決算書が正税帳である。

[編集部]

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世界大百科事典 第2版「正税」の解説

しょうぜい【正税】

律令制下において諸国の正倉に収納されていた稲穀をさし,大税(たいぜい)ともいう。主として毎年の田租収入と正(大)税出挙(すいこ)の利息によって成り立っている。田租収入と出挙利息とのしめる割合は国や年度によっても異なるが,天平期においてはほぼ等しいか田租の方がやや多い程度とみられる。田租は大部分がほとんど使用されず非常時に備えて正倉に備蓄され,地方行政に関する費用,中央への貢納物の購入と運搬費用などの毎年の諸経費は出挙の利息でまかなわれていた。

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世界大百科事典内の正税の言及

【官稲】より

…賦役令土毛条義解には官稲を分かって大税,籾穀,郡稲の3種としている。大税(正税(しようぜい))は,その一部を舂米(しようまい)として京に進納するほか,出挙して利息を得,それを国衙の臨時費に充当した。籾穀は,非常の救急に備える永年貯蓄用として不動倉に収納。…

【正税帳】より

…奈良・平安時代に諸国において作成された1年間の正税(大税)の収支決算書。毎年同じものが少なくとも3通作成され,2通を正税使(税帳使)が付属帳簿(枝文(えだぶみ))とともに中央政府に提出した。…

※「正税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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