貿易とセキュリティー(読み)ぼうえきとせきゅりてぃー(その他表記)trade security

知恵蔵 「貿易とセキュリティー」の解説

貿易とセキュリティー

2001年9月11日の米国同時多発テロ契機に、米国を始め貿易の安全確保に対する取り組みが強化されてきた。米国ではテロ対策として、02年にまず、米国向け海上コンテナに大量破壊兵器を隠し米国内で爆発させる等のテロを防ぐための安全対策が実施された。米国向けコンテナを船積みする外国の港に米国の税関職員を常駐させ、コンテナ貨物の事前チェックを行っている。次に、船会社に対して米国向け海上貨物情報を船積み24時間前までに提出する義務を課している。さらに航空貨物、陸上貨物についても同様または早期の情報提出を規定した。04年3月以降はすべて電子ファイルでの情報提出に切り替えられている。また、東南アジアにおいて海賊行為が多発。凶悪・組織化しており、05年には276件に上り日本の海上輸送への脅威となっている。マラッカ海峡での低速航行や取り締まりの地形的困難性、地域政情不安などが背景に挙げられる。これに対して関係各国間会議による海賊対策連携強化、地域協力で様々な取り組みが行われているが、引き続き困難な課題である。

(永田雅啓 埼玉大学教授 / 松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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