贖宥(読み)ショクユウ(その他表記)indulgentia; indulgence

デジタル大辞泉 「贖宥」の意味・読み・例文・類語

しょく‐ゆう〔‐イウ〕【××宥】

カトリック教会で、信徒が果たすべき罪の償いを、キリストと諸聖人の功徳によって教会が免除すること。免償

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「贖宥」の意味・わかりやすい解説

贖宥
しょくゆう
indulgentia; indulgence

カトリック教会用語。今日では免償の語が一般に用いられる。告解の秘跡を受けてすでにゆるされた罪に伴う,有限の罰のゆるしや償却をいう。各人がみずからの罪の償いをことごとく果たす代わりにキリスト,聖母をはじめとする諸聖人の功徳が神に捧げられることで,教会がその権威によってこの代替を認める。全贖宥と分贖宥があり,全贖宥は有限の罰のすべてをゆるし,聖年大赦や臨終の際与えられ,分贖宥は有限の罰の一部をゆるし,普通,40日,70日,100日,1年,7年など,期限付きである。贖宥を受けるには,成聖の恩恵の所持,受ける意志とその有効性への信頼,罪の悔い改めとその償いとしての善業の実践などが必要とされる。善業が,祈り,秘跡受領,聖堂訪問から献金へと拡大され,聖堂建設,十字軍遠征の費用などの財源にあてられるまでになり,1517年聖ペテロ大聖堂建立の献金のための贖宥に対するマルチンルターの抗議が宗教改革口火となった。トリエント公会議(1545~63)以来,濫用の規制がなされた。(→免罪符

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改訂新版 世界大百科事典 「贖宥」の意味・わかりやすい解説

贖宥 (しょくゆう)
indulgentia[ラテン]

カトリック教会用語。免償とも言う。教会がイエス・キリスト,聖母マリア,諸聖人の功徳によって,告解の秘跡後に残った有限の罰の償いに対して与えるゆるしのこと。全贖宥(すべての罰のゆるし)と部分贖宥(一部の罰のゆるし)に大別される。これにあずかるには,神からの恩恵を受ける状態にあり,贖宥を受けたいとの意向があり,また善行,祈りなど定められた条件を果たさなければならないとされる。
免罪符
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世界大百科事典(旧版)内の贖宥の言及

【市】より

…対外的独占と対内的平等を原則とするギルド,ツンフトの存在は都市経済における価格形成市場の成立を阻害していたが,それにはキリスト教が互酬・再分配の関係に彼岸における救いを媒介として,新しい回路(無償の贈与)を設定したことが大きな契機となっていた。カトリック教会の教義の根底には贖宥(しよくゆう)の観念,つまり善行や喜捨,寄進に対して罪のゆるしが与えられるという形で互酬関係の原則が古代社会から流れこんでいたが,それは彼岸における救いを媒介として教会や公的機関に対する一方的な贈与の機会を増大させ,この原理が中世都市における人間関係の根底に流れていた。中世都市の商人たちは,あくことのない営利欲にかられて利潤追求を行う反面で,蓄えた財貨をときに宴会や祭り,喜捨,寄進という形で蕩尽し,彼岸における救いを祈願した。…

【十字軍】より

…1095年11月28日,教皇はこれらの内容をふくむと推定される〈十字軍宣言〉を公表し,フランスを中心とする西欧各地でこのアピールにこたえる遠征参加希望者の大集団が数組結成された。ここに〈贖宥(しよくゆう)〉(罪のゆるしに伴うつぐないの免除)という精神的特権を付与された武装巡礼団が公式十字軍として,2世紀余にわたって断続的に中近東各地へ派遣されることになった。
【十字軍の構造,時代・地域区分,行軍ルート】
 アミアンの隠者ペトルスPetrusをカリスマ的指導者と仰ぐ北フランスとライン川沿岸地方の民衆約2万人が,自発的にエルサレム巡礼を目ざして結成した〈先発隊〉の出発(1096年7月)を最初として,公式・非公式,大小無数の武装・非武装の海外進出団体(単位集団当り数百人から20万人余)が続々として東方へ向かった。…

【免罪符】より

…中世末から近世初期のローマ・カトリック教会で,信徒がこれを購入することによって,自己の犯した罪の償いを免除されると信じられた,教皇が発行する証書。贖宥(しよくゆう)状,贖宥符とも訳される。これがもたらす信仰上の弊害をルターが〈九十五ヵ条提題〉で攻撃したことが,宗教改革の口火となった。…

※「贖宥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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