赤血球増加症(読み)せっけっきゅうぞうかしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤血球増加症」の意味・わかりやすい解説

赤血球増加症
せっけっきゅうぞうかしょう

健康者の赤血球数は、1立方ミリメートル中550万が上限界であり、それ以上増加する場合を赤血球増加症あるいは多血症とよぶ。血液中の水分減少する場合は、比率として赤血球が増加するが、これは比較的増加である。一方、赤血球の産生が高まって増加するものを絶対的増加といい、この二者は体全体の赤血球量を測定することにより判明する。絶対的増加をおこす原因として赤血球をより多く必要とする場合をあげると、高地居住、心肺疾患で体が低酸素症をおこしているとき、エリスロポエチン(造血因子)の産生が高まっている病気血液幹細胞悪性腫瘍(しゅよう)性に増殖する場合などがある。赤血球が多すぎると、粘度が高まり、循環抵抗があがって高血圧症をおこし、また動脈硬化血栓症の原因にもなる。

[伊藤健次郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「赤血球増加症」の意味・わかりやすい解説

赤血球増加症
せっけっきゅうぞうかしょう
erythrocytosis; polycythemia

多血症。血液中の赤血球が正常値をこえて増加する病気。高所居住者のほか,肺気腫などの慢性肺疾患,先天性心疾患などの場合にみられる。赤血球過多症とも呼ばれ,その多くは組織酸素欠乏を防ぐために生理的必要から酸素運搬者である赤血球数が増加したものである。これに対し,赤血球生成組織が無制限に増殖するものは真性赤血球増加症または赤血病と呼ばれる。なお,血漿量の減少のため見かけ上,赤血球が増加しているものもある。

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世界大百科事典(旧版)内の赤血球増加症の言及

【血液】より

…最も多い原因はヘモグロビンの原料となる鉄分が不足するもので,月経過多,痔や胃潰瘍などによる長期に及ぶ出血が先行していることが多い。貧血に対して赤血球数が増加する病気を赤血球増加症(多血症)といい,腫瘍性増殖によるものと,心臓や肺疾患のために生ずる続発性のものがある。(2)白血球の異常による病気 癌のように白血球が無秩序に増殖し,そのため役にたつ正常の白血球や赤血球,血小板の産生が妨げられるのが白血病である。…

【多血症】より

…末梢の血液に赤血球が増加し,ヘマトクリット値が上昇している状態をいい,赤血球増加症と同じ意味で用いられる。多血症には,全血液中の赤血球数は正常であるが,なんらかの原因で末梢血液で増加する相対的多血症と,総赤血球数が増加する絶対的多血症がある。…

※「赤血球増加症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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