日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤血病」の意味・わかりやすい解説
赤血病
せっけつびょう
赤血球と、赤血球を産生する幼若細胞(赤芽球)が、びまん性に無制限に増加するもので、その性格は癌(がん)と同じである。白血病と同様に慢性、急性に分けられ、赤血球が増加するものは慢性赤血病であり、これは真性多血症と同じものである。これに対して骨髄の中で赤芽球が増殖するのは急性赤血病であり、1923年にイタリアのディ・ググリエルモDi Guglielmoが最初に報告したので、ディ・ググリエルモ症候群とよばれることがある。慢性赤血病は、赤血球が著増するとともに白血球、血小板の増加も随伴し、脾臓(ひぞう)が腫(は)れ、高血圧、血栓症、痛風などを合併する。急性赤血病は、貧血、白血球減少、血小板減少とともに病的赤芽球が著増して全身に浸潤する。しばしば白血病に移行したり共存したりするため、赤白血病ともよばれる。慢性赤血病にはブスルファンその他のアルキル化剤(制癌剤の一種)が用いられ、長期生存が可能である。急性型は難治性である。
[伊藤健次郎]