日本大百科全書(ニッポニカ) 「車両基地」の意味・わかりやすい解説
車両基地
しゃりょうきち
鉄道車両の検修、整備、留置を行う拠点。取り扱う車種によって、旅客車基地、機関車基地、貨車基地の三つに大別されるが、これらを統合した機能をもつ基地もある。また、車両を配置し、とくに交番検査(車種によって異なるが、電車では60日または走行キロ2万0500キロメートルごとに行う検査)以上の定期検査を施行する基地を車両配置基地とよぶこともある。なお一般には、列車を運転する動力車乗務員や、貨物列車に乗務する列車掛の拠点を兼ねており、車両と乗務員とを一体的に管理運営するところである。日本の場合、現存する最古の車両基地は1880年(明治13)開業の北海道の手宮(てみや)機関庫(JR北海道)で、現在は鉄道記念物として保存されている。
車両基地の機能としては、車両の検査、修繕、整備、収容、組成、運用、技術管理などの車両に関するもの、乗務員の点呼、訓練、休養などの乗務員に関するもの、およびこれらを有機的に結び付け現業機関として運営するための事務・物品・企画・管理業務などが必要である。車両基地の位置や規模は、車両、乗務員の運用、輸送形態、工事費、要員操配などを総合的に判断したうえで決定されるが、一般的には、輸送段差の大きいところに車両の留置が生じるので、そこに基地を設け、車両に関する業務を行う。回送ロスや入出区作業に伴うロスを避けるため、駅や操車場に極力近く、輸送量の小さい側に設ける。検修作業については、設備、要員を有効に活用するため、極力集中する。また乗務員については、運用上ロスの少ない位置とするが、入出区の多い車両留置基地、または乗り継ぎの多い大きな駅に設置する。
[土田 廣]