日本の自動車技術240選 「車両安定制御システム」の解説
車両安定制御システム
製作(製造)年1995
製作者(社)トヨタ自動車株式会社
資料の種類量産システム
現状使用中・公開
通称名-
会社名トヨタ自動車株式会社
実物所在使用中・公開
搭載車名1995年発売の新型マジェスタ i-Four、他
製作年1995
構造・方法・手段・方法等【VSCの構成要素】ヨーレートセンサー:車両の鉛直軸と平行になるように搭載し、車両の鉛直軸回りの回転角速度(ヨーレート)のみを検出Gセンサ:車両の重心位置近くに水平に固定し、車両重心の前後・左右方向の加速度を検出操舵角センサ:ハンドルの裏側に取り付け、ドライバーのハンドル操作をダイレクトに検出ブレーキ圧センサ:VSC油圧制御ユニット上に取り付け、ブレーキ圧の変化を検出車輪速センサ:各車輪に取り付け、各車輪の回転角速度を検出スロットル開度センサ:ドライバーのアクセル操作と、VSCによりエンジン出力制御を行う場合のスロットル開度を検出VSC油圧制御ユニット:車輪の加速・減速スリップが発生したときにはTRC・ABS機能を、車両が横すべりしたときにはVSC機能を発揮し、各車輪に制御油圧を供給スロットルアクチュエータ:VSCがエンジン出力制御を行う場合にスロットルバルブを開閉
機能・作用等【ドライバーインフォメーション】車両やタイヤのグリップに危険が迫っていることをドライバーに、視覚(インジケータ)および聴覚(ブザー)で知らせる。【VSC制御】VSCの制御は、車両状態演算部、制動力制御演算部、駆動力制御演算部で構成している。(車両状態演算部)各センサの信号をもとに車両の安定度合いを判断し、車両挙動状態(安定性、コースずれの程度)を演算。演算した車両状態を他の演算部へ伝達し、車両状態が不安定になった場合にはスリップインジケータおよびブザーによりドライバーに知らせる。(駆動力制御演算部)車両状態にもとづくエンジン出力目標の演算を行い、その出力目標になるようにスロットルアクチュエータを駆動する。(制動力制御演算部)車両を安定状態に復帰させるための各車輪の制動力を演算し、ブレーキ油圧制御ユニットへの駆動要求値を演算する。この要求値をABS制御演算部に送り、VSC制御とABS制御の要求を整合させ、ブレーキ油圧制御ユニットを駆動する。【VSCの効果】テストコースで、直進走行中に側方から不意な飛び出しに遭遇し、とっさにハンドルを切って再び元の走行レーンに戻るという試験をVSC装備有無の車両で行った。(VSC未装備車両)元のレーンに戻る際の揺り返しで後輪横すべりを起こし操縦不能となり、最終的にスピンしてコースを逸脱(VSC装備車両)車両安定性を失うことなく、障害物を回避し元のレーンに復帰
技術要旨【VSCの運動制御の基本】車体や車輪の横すべり状態に応じて4輪独立にアクティブ製動力を加えることによって、旋回モーメントと減速力をコントロールして旋回安定性やコーストレース性を確保する。
参考文献山本 横すべり抑制のための車両安定性制御システム(VSC)、自動車技術会シンポジウム「タイヤ―車両系の最新技術」、No.9602 Symposium 1996
出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報