輸出品の声価の維持と向上を図り、それによって輸出貿易の健全な発達に寄与することを目的として行う検査。日本における輸出検査は第二次世界大戦を契機として三段階を経て発展してきた。戦前は重要輸出品取締法によって公設検査機関による検査が強制され、それに合格しなければ輸出が許可されなかった。戦後に制定された輸出品取締法は、業者の責任で自主的に行う自主検査へと急転換し、品目によってその品位を示す等級を表示することになった。しかし、1956年(昭和31)前後から海外で日本商品のなかに多くの粗悪品が発見されて問題化され、それを契機として検出検査制度の強化への要望が高まり、これにこたえて輸出検査法(昭和32年法律97号)が制定された。同法によれば、指定貨物は原則として政府機関または政府指定の検査に合格しない限り、輸出できないことになった。検査を受ける指定貨物は輸出検査品目令(昭和33年政令3号)に明示され、品質については材料検査と製造検査、包装については包装条件が検査される。同時に、なれあい検査を抑止するために指定検査機関と検査自体に対する監視・監督が強化され、罰則も厳しいものであった。しかし、その後の日本の技術力向上と、政府による規制緩和推進により、輸出検査法は1997年(平成9)に廃止された。
[鳥谷剛三]
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