改訂新版 世界大百科事典 「農用地区域」の意味・わかりやすい解説
農用地区域 (のうようちくいき)
〈農業振興地域の整備に関する法律(農振法)〉(1969)にもとづき,農業の近代化に必要な条件をそなえた農業地域を保全し形成するため,農業振興地域が都道府県知事により指定されている。農用地区域とはそのなかの農用地等として利用すべき土地の区域をいい,市町村が指定するが,20ha以上(例外として10ha以上)の集団的農地などがその対象である。農用地区域内ではその地域の一体としての農業の振興を図るために,農地の転用制限を含む農業の保護措置がとられている。なお1975年に農振法の一部改正が行われ,未利用農地の活用と利用の集積を図るために,農用地区域内において市町村が農用地利用増進計画を定め,農地法の制約を受けることなく農用地の利用権を設定・解除できるようになった。これは農用地利用増進法(1980)に引きつがれ,農地の流動化はいっそう進められることになった。95年3月末現在の全国の農用地区域面積は533万ha,うち農地は510万haである。
執筆者:岡部 守
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報