幕末・明治期の地誌記録者。本名守真(もりざね)、号を有無庵不名(うむあんふめい)、聞斎(ぶんさい)という。北方探検家近藤重蔵守重(もりしげ)の長男として江戸に生まれ、22歳のとき隣の百姓家族を殺害し、1827年(文政10)八丈島に流された。在島中、罪を悔いて熱心な仏教信者となり、髪のシラミも殺さなかったと伝えられる。偉丈夫で、島民の労働を手伝うほか、稚拙ながら仏像・肖像の木彫りをつくり、旧家の系図を整え、歴史・伝説を記録して島民に与え、生活の資とした。子弟のために英語の入門書を書いたり、郷学校の夕学舎を設立しようとしている。80年(明治13)赦免されて、いったん大阪に行き、親戚(しんせき)の判事より100円を贈られたが、帰京の途中賊に奪われ、平和な島生活が恋しくなってふたたび八丈島に戻った。その後在島中の見聞や生活を精力的に筆記し、膨大な地誌『八丈実記』69巻を完成した。
[北原 進]
『八丈実記刊行会編『八丈実記』全7巻(1964~76・緑地社)』
(徳盛誠)
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…近藤富蔵守真(1805‐87)が著した幕末の八丈島の地誌。全69巻のほか拠巻と称する稿本が残る。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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