改訂新版 世界大百科事典 「逆性セッケン」の意味・わかりやすい解説
逆性セッケン(石鹼) (ぎゃくせいせっけん)
invert soap
reversed soap
陽イオン界面活性剤の別称。セッケンを代表とする陰イオン界面活性剤では親油基が陰イオンになるのに反し,これは逆に陽イオンになるところからの名称で,陽性セッケンともいう。第三アルキルアミン塩,第四アルキルアンモニウム塩が代表的なものである。逆性セッケンは,他の界面活性剤と同様に界面吸着層を形成して表面張力を低下させるが,洗浄力はなく,むしろ脂肪酸等の陰イオン性の物質を繊維等に吸着させる。硬水中,金属塩と共存しても沈殿しない。中性,酸性では安定であるが,強アルカリ性では不安定となる。また,強力な殺菌・消毒作用がある。このため,工業的用途として繊維の染色助剤,消毒・殺菌・防腐剤として医薬に,また食品用器具,酪農器具の消毒等に利用されている。
→界面活性剤
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報