進化的計算(読み)しんかてきけいさん(その他表記)evolutionary computation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「進化的計算」の意味・わかりやすい解説

進化的計算
しんかてきけいさん
evolutionary computation

生物の進化における交差,突然変異,選択淘汰のメカニズムを模倣して,コンピュータの最適化の問題を解く手法。遺伝的アルゴリズム,遺伝的プログラミングが知られる。遺伝的アルゴリズムは,生物が実際の環境のなかでみずからを最適化しているという事実をふまえて,ジョン・ホランドが提唱した。
遺伝的アルゴリズム GA; Genetic Algorithmでは,GTYPEと PTYPEの 2つのタイプの情報表現を用いる。GTYPEは遺伝子型 genotypeに相当し,遺伝子の並びを表す。PTYPEは表現型 phenotypeに相当し,GTYPEの環境内での遺伝子型の発現によって生じる構造や行動を表す。遺伝的アルゴリズムでは,まず,初期世代の GTYPEとそこから発現した PTYPEの集合をつくる。次に,PTYPEが環境にどの程度適合したかを評価することで,PTYPEの適合度を計算する。適合度の低いものを淘汰して残ったものを選択し,交差,突然変異,逆位などの遺伝的オペレータを適用して,次世代の GTYPEと PTYPEを作り出す。この操作を繰り返すと,世代が上がるにつれて適合度が上がり,最適解が得られることが期待される。
遺伝的プログラミング GP; Genetic programmingは GAを拡張したもので,構造的な表現を扱えるように遺伝子型としてグラフ構造(→グラフ理論)の一種である木構造やネットワークなどを採用し,それに対して,部分木の変更(突然変異),兄弟木の並べ替え(逆位),部分木の置き換え(交差)などの遺伝的オペレータを適用して次世代遺伝子型を生成する。GPはプログラム生成,ゲームのプログラミングなどさまざまな問題に適用された。GPの考え方を用いて人工知能システムを構成する手法は,進化的学習と呼ばれる。

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