過強陣痛
かきょうじんつう
Excessively strong pains
(女性の病気と妊娠・出産)
陣痛が過剰に強いことを過強陣痛と呼んでいます。子宮の収縮が非常に強く、長く続きます。
十分な陣痛があっても分娩が進行できない状態(狭骨盤、児頭骨盤不均衡、軟産道強靭などの産道に原因がある場合、巨大児の場合、骨盤位、横位など胎位や胎勢に原因がある場合など)が続くと、陣痛が過剰に強くなってしまうことがあります。
陣痛促進薬の効果が強く出てしまった場合も、過強陣痛になります。
母体は強い疼痛のために興奮状態となります。体動を自制できなくなることもあり、その場合、ベッドや分娩台から落ちてしまうこともあります。
分娩の進行は急速になり、産道の準備が整わない段階で強い力が加わるため、子宮破裂、頸管裂傷、会陰(えいん)裂傷、弛緩出血などの母体損傷を起こしやすくなります。また、強い陣痛のストレスのために胎児の状態が悪化することが多いことが知られています。
臨床症状から明らかなことが多いのですが、原因をできるだけ早く確定し、適切な対策を講じる必要があります。
陣痛促進薬の投与中に発症した場合は投与を中止し、母子の全身状態の改善に努めます。必要に応じて子宮収縮抑制薬の投与を行うこともあります。
原因が除去できない場合には、経腟分娩をあきらめ、帝王切開による分娩を行います。
陣痛の周期が短く、休みなく子宮の収縮を感じる場合や疼痛が非常に強い場合は、医師または助産師に状況を説明して、過強陣痛ではないかどうかを確かめることが必要です。
海野 信也
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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かきょうじんつう【過強陣痛 Excessively Strong Pains】
[どんな病気か]
お産は、規則的におこる子宮の収縮によって進行します。この子宮の収縮を陣痛といいますが、子宮の収縮が異常に強かったり、持続時間が長すぎたり、周期が短い場合を、過強陣痛といいます。
過強陣痛の状態になると、子宮破裂(「子宮破裂」)をおこしたり、胎児の具合が悪くなる場合があります。
[原因]
骨盤(こつばん)が狭かったり、産道(さんどう)がかたく抵抗が大きい場合、精神的なもの(分娩(ぶんべん)に対する恐怖感)、陣痛促進剤(子宮収縮剤)の過剰投与などが原因となります。
[治療]
陣痛促進剤を使用している場合は、量を減らすか、もしくは中止します。麻酔薬や子宮収縮抑制剤(子宮の収縮を抑える薬)を使用することもあります。
骨盤が狭いなど原因を取り除けない場合や、母子に危険が迫っている場合には、帝王切開(ていおうせっかい)(「特殊な分娩」の帝王切開術)を行ないます。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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かきょうじんつう【過強陣痛】
陣痛が極端に強かったり、陣痛の間隔が短い、あるいはその両方をいいます。
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の過強陣痛の言及
【異常分娩】より
…陣痛以外に分娩を遅らせる原因がない場合は,子宮収縮剤を投与して陣痛を強くする。
[過強陣痛strong pain]
陣痛が強すぎる場合で,これの最も強いものを痙攣(けいれん)陣痛cramp painという。産婦は痛みに耐えかねる状態になる。…
※「過強陣痛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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