子宮収縮剤(読み)シキュウシュウシュクザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「子宮収縮剤」の解説

子宮収縮剤

製品名
《ゲメプロスト製剤》
プレグランディン(小野薬品工業)
《ジノプロストン製剤》
プロスタグランジンE2(科研製薬、富士製薬工業)
《メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤》
パルタンM(持田製薬
メチルエルゴメトリンあすか製薬武田薬品工業
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩(富士製薬工業)

 子宮の筋肉を収縮させて陣痛じんつうをおこしたり、子宮からの出血を止めたりする薬です。


 ジノプロストン製剤は、妊娠末期に陣痛を誘発して分娩ぶんべん促進するのに使います。


 また、分娩後の弛緩性出血しかんせいしゅっけつを少なくする効果があり、ふつう血圧上昇などの副作用はおこりません。


 ゲメプロスト製剤では、妊娠中期における治療的流産に使用します。


 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤では、分娩後流産人工妊娠中絶掻爬そうはのときの出血の予防止血に使用します。


①過敏症状(発疹ほっしんじんましんなど)がおこることがあります。


 ジノプロストン製剤では、強い陣痛(過強陣痛かきょうじんつう)、胎児機能不全徴候(仮死、脈が速くなる、脈が遅くなる)、羊水の混濁などがおこることがあります。


 ゲメプロスト製剤では、ショック、子宮破裂子宮頸管裂傷、子宮出血、心筋梗塞がおこることがあります。


 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤では、アナフィラキシー、心筋梗塞、狭心症、冠動脈攣縮れんしゅく、房室ブロックがおこることがあります。


 このような症状がおこったら、使用を中止して、すぐ医師に報告してください。


②吐き気、下痢、ほてり、呼吸異常、胃腸障害、血圧上昇、脈の異常、頭痛、ねむけ、めまい、のどの渇き、耳鳴り、ほてり、筋けいれんなどがおこることがあります。このような症状がおこったら、すぐ医師に相談してください。


錠剤と腟剤です。原則として、医師が母体と胎児の状態を常時監視できる条件下で使用します。


②あらかじめ問診の際に、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を医師に報告してください。


③この薬で過敏症をおこしたことのある人は、使用できません。


 ジノプロストン製剤では、骨盤狭窄、児頭骨盤不均衡、骨盤位または横位などの胎位異常のある人、前置胎盤の人、常位胎盤早期剥離の人、胎児機能不全の人、帝王切開または子宮切開の経験がある人、オキシトシン、ジノプロスト、プラステロン製剤を使用中の人、過強陣痛をおこすおそれのある人は、この薬を使えません。


 ゲメプロスト製剤では、前置胎盤、異所性妊娠などで操作により出血の危険性のある人、骨盤内感染による発熱のある人は、この薬を使えません。


 メチルエルゴメトリンマレイン酸塩製剤では、妊婦、児頭娩出前、麦角アルカロイド過敏症、重い虚血性心疾患またはその既往歴のある人、敗血症の人、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、サキナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、ダルナビル)、エファビレンツ、イトラコナゾール、ボリコナゾール、テラプレビル、コビシスタット、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン)、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミンを使用中の人は、この薬を使えません。


④過去に子宮収縮剤を使って過敏症をおこしたことがある人、高血圧症、妊娠高血圧症候群、心臓・肝臓・腎臓じんぞうの病気、血管障害といった病気がある人は、必ず医師に報告してください。ゲメプロスト製剤ジノプロストン製剤の使用では、緑内障、眼圧亢進こうしんのある人、帝王切開の経験がある人は、必ず医師に報告してください。


⑤この薬を使用中に、ほかの薬を使う必要があるときは、必ず医師に報告してください。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「子宮収縮剤」の意味・わかりやすい解説

子宮収縮剤
しきゅうしゅうしゅくざい
oxytocic

子宮筋を収縮させる作用のある薬剤の総称。分娩の誘導,産後の出血防止,不全流産の残留物排出などの目的に用いられる。重要なのは下垂体後葉ホルモン製剤と麦角アルカロイド製剤である。下垂体後葉ホルモンは,子宮収縮作用と同時に血圧上昇作用を有するが,子宮収縮作用はオキシトシン,血圧上昇作用はバソプレッシンという相異なる2成分によるものである。ライムギに発生する麦角菌の保続性菌体の乾燥物中に含まれるアルカロイドには,エルゴトキシン,エルゴタミン,エルゴメトリンなどがある。前2者は収縮作用の現れるのが遅く,またその作用も弱いが,エルゴメトリンは水溶性であり,作用の発現も早く,子宮に対して持続的な緊張はさせず,律動的収縮をさせ,血圧上昇作用,交感神経作用が比較的少い。その他,ヒドラスティスアルカロイド,キニーネなども用いられ,最近は合成薬剤も用いられる。連用により慢性中毒を起すことがある。

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妊娠・子育て用語辞典 「子宮収縮剤」の解説

しきゅうしゅうしゅくざい【子宮収縮剤】

自然の陣痛が来る前に子宮収縮を起こして分娩を開始させたり(分娩誘発)、自然の陣痛が不十分でお産が進まない場合に子宮の収縮を促進(分娩促進)する薬です。使用にあたっては、薬の必要性、目的(利点)、使用方法、副作用とその対応策(まれに子宮の収縮が強くなり過ぎ、母体や胎児が危険になることもあります)など、医師から十分に説明を聞き、納得のうえで選択することが重要です。

出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報

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