朝日日本歴史人物事典 「道詮」の解説
道詮
生年:生年不詳
平安前期の三論宗の僧。武蔵国の人。一説に貞観18(876)年10月2日死去。はじめ東大寺の玄耀に師事。法隆寺に属し,福貴寺(奈良県磯城郡)において虚空蔵求聞持法(記憶力を増大させる密教修法)を修す。仁明天皇に戒を授け,文徳天皇の前での論議の座主を勤め,維摩会講師の労も加わって権律師となる。法隆寺の再興に努め,貞観1年東院に私水田を施入した。弟子に真如親王,法隆寺別当の長賢がいる。著書『箴誨迷方記』で,真偽が問題となっていた『釈摩訶衍論』を真経と判定した。法隆寺夢殿に坐像が残る。<参考文献>薗田香融『平安仏教の研究』
(岡野浩二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報