家庭医学館 「遠位性ミオパチー」の解説
えんいせいみおぱちーまっしょうせいみおぱちー【遠位性ミオパチー(末梢性ミオパチー) Distalmyopathy】
ミオパチー(「神経筋疾患とは」)は、肩、腰などの近位筋(きんいきん)(心臓に近い筋肉)に、また、末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)による筋肉の異常は、手足の末端などの遠位筋(えんいきん)(心臓から遠い筋肉)におこるのが原則です。
この原則に反し、ミオパチーなのに遠位筋が障害されることがあります。これを遠位性ミオパチーといい、日本では、三好型(みよしがた)遠位性筋ジストロフィーと空胞変性(くうほうへんせい)をともなった遠位性ミオパチー(DMRV)の2つが見つかっています。
両方とも思春期に発症し、常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせいいでん)します。
三好型では、2番染色体に異常遺伝子があることが最近明らかになりましたが、この遺伝子がつくる異常たんぱくは、まだわかっていません。
DMRVの遺伝子はまだ見つかっていません。
[症状]
三好型は、ふくらはぎから障害されるので、つま先立ちができなくなります。DMRVは、膝(ひざ)から下の前面筋(前脛骨筋(ぜんけいこつきん)など)が障害されるので、つま先を上げられなくなり、つまずきやすくなります。
[検査と診断]
筋肉を微量採取して顕微鏡でみる筋生検(きんせいけん)が決め手になります。DMRVでは、空胞変性がみえます。
血液中のCK(クレアチンキナーゼ(「CK(クレアチンキナーゼ)〔CPK(クレアチンホスホキナーゼ)〕」))は、三好型では高値を、DMRVではやや高値を示します。筋電図検査は、DMRVでは筋原性(きんげんせい)変化に加え、神経原性(しんけいげんせい)変化の所見も認められるのがふつうです。
[治療]
残念ながら、治療法はまだなく、症状を和らげる対症療法が中心になります。