クレアチンキナーゼ(読み)くれあちんきなーぜ(英語表記)creatine kinase

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレアチンキナーゼ」の意味・わかりやすい解説

クレアチンキナーゼ
くれあちんきなーぜ
creatine kinase

クレアチンリン酸の分解と合成にかかわる触媒酵素。骨格筋や心筋および脳などの神経細胞に多く存在する。CKと略称され、かつてはクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK:creatine phosphokinase)とよばれていた。筋肉を使うときなどに必要となるATPアデノシン三リン酸)のエネルギーをクレアチンに転移してクレアチンリン酸(フォスフォクレアチン)として蓄えておき、筋肉を収縮させるなどエネルギーを必要とするときに、逆反応によってATPを合成し再生する。具体的には、クレアチンリン酸をクレアチンとリン酸に分解し、ADP(アデノシン二リン酸)にリン酸基を渡してATPを補給する。すなわちCKは、クレアチン+ATPとクレアチンリン酸+ADPとの相互の反応を触媒する酵素である。

 また、筋肉などの組織細胞に障害があるとCKの血中濃度が高値を示すため、心筋梗塞(こうそく)をはじめとする心疾患のほか、多発性筋炎や甲状腺(せん)機能低下症などの診断の際に測定される。ほかにマラソンなどの激しい運動や、筋肉の打撲、筋肉注射後にもCKが高値を示す場合がある。また、スタチンなどの薬物作用によって上昇をみることもある。

[編集部 2016年7月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレアチンキナーゼ」の意味・わかりやすい解説

クレアチンキナーゼ
creatine kinase

酵素番号 2.7.3.2。クレアチンホスフォキナーゼ (CPK) ともいう。筋肉内に存在する酵素で,血清クレアチンキナーゼ濃度の測定は,筋肉や脳などの組織細胞に障害があるかどうかを判定するうえで役立つ。進行性筋ジストロフィーや心筋梗塞では血清クレアチンキナーゼ活性が上昇する。急性心筋梗塞の診断にはクレアチンキナーゼ・アイソザイム (分子構造の異なる酵素群) の MB活性が測定される。

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