選択的信用調節(読み)せんたくてきしんようちょうせつ(英語表記)selective credit control

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

選択的信用調節
せんたくてきしんようちょうせつ
selective credit control

経済の特定分野、たとえば株式購入、耐久消費財の購入、住宅建設などに対する貸出の量や条件を規制する措置。金融政策は一般に通貨・信用の総量を調節し、信用の配分については金融機関の判断ないし金利機能に任せている。しかし、なんらかの事情で金利が十分に引き上げられないために政策効果を十分に達成できない場合、あるいは前述の経済の特定部門における政策効果を早期に期待したい場合、公定歩合の引上げにかわってとられたのが、この選択的信用調節である。これは国民経済における資金の配分に介入する措置であることから、一般的な金融政策が量的規制であることに対して、質的信用規制に含まれる。
 選択的信用調節は、第二次世界大戦後、欧米主要国ではかなり活用されてきた。たとえば、アメリカでは、株式の信用取引に必要な最低証拠金率の規制(連邦準備制度レギュレーションTおよびU)、消費者信用の頭金率の割賦期間の規制(同レギュレーションW)、住宅金融の最高貸出限度と最高貸出期間の規制(同レギュレーションX)などが戦後インフレ期にとられたが、現在は経済金融情勢に対処して金利政策・オペレーションなど一般的な政策手段がとられて、選択的信用調節はすべて用いられていない。日本の事例としては、1950年代後半に国際収支の赤字に対処して金融引締めが実施されたとき、輸入削減のために、輸入業者に輸入金額の一定比率(輸入担保率)の保証金を外国為替(かわせ)銀行に預け入れさせ、その預託金を日本銀行に再預託させる措置がとられたことがあげられる。この制度は1973年(昭和48)に廃止された。[石田定夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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