中国,江西省北部にある湖。贛江(かんこう),撫江,信江,修水,鄱江などの川が流入する。南北両湖に分かれ,湖水は北の湖口を経て長江(揚子江)に注ぐ。面積3976km2,湖面の標高21mで中国最大の淡水湖である。古くは彭蠡(ほうれい),彭沢と呼ばれ,隋代以降に鄱陽湖と呼ばれる。都昌・呉城の間で湖面が狭くなり,このくびれた部分を境にして北湖と南湖に分かれる。南湖は江西省のほとんどの水系を集め,増水期には内陸まで浸水し最深部は十数mに達する。しかし冬の減水期は湖面の大半は陸地化し,沼沢地を含む大平原になる。そのため周辺農民は陸地化した湖面に堤防をめぐらし水田を開いた。北湖は南湖ほど増減の差は著しくないが,8~9月には長江の水がわずかだが逆流する。西岸の廬山は風光をもって知られる。湖内では青魚,鰱魚などの養魚が盛んであり,沿岸の平野では米産が多く,水運を利用して南昌,九江まで運ばれる。また放射状に3月中旬から11月中旬まで小汽船の航路がのび,内陸部の諸都市と結ばれる。
執筆者:林 和生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中国、江西省北部にある同国最大の淡水湖。面積3976平方キロメートル。湖面の標高21メートル。水深は最大23.7メートル。洪水期には面積は5050平方キロメートルに拡大する。南が広く北が狭いひょうたん形の湖である。元来は燕山(えんざん)運動の時期に形成された大盆地に水がたまったためできた湖だが、大部分の地域とくに南岸部の緩慢な上昇と河川の流し込む泥の堆積(たいせき)により、現在では湖の面積は半分以下になっている。贛水(かんすい)、修水、鄱江(はこう)、撫河(ぶが)、信江などの水が流入し、北方の湖口を経て長江(ちょうこう/チャンチヤン)(揚子江(ようすこう))に流入する。古くは彭沢(ほうたく)、彭蠡(ほうれい)、彭湖(ほうこ)などと称していたが、明(みん)代になって鄱陽湖とよばれるようになった。標高が長江より少し高いので、正常な水位では長江からの逆流現象はみられず、各河川の泥をよく流出するので、洞庭(どうてい)湖に比べると土砂の埋積速度は遅い。湖岸は一望千里の沃野(よくや)をなし、水運と灌漑(かんがい)の便に恵まれ、養魚やハスの栽培も盛んである。
[河野通博]
「ポーヤン(鄱陽)湖」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新