重ね板ばね(読み)かさねいたばね(英語表記)leaf spring

翻訳|leaf spring

日本大百科全書(ニッポニカ) 「重ね板ばね」の意味・わかりやすい解説

重ね板ばね
かさねいたばね
leaf spring
laminated spring

ばね鋼材でつくった板状平板を数枚ないし十数枚重ね合わせたばね。厚さが一定で幅が先端に向かって狭くなる片持ち梁(ばり)(一端を固定した梁)の先端に荷重を加えるときの曲げ応力は、長手方向に一定で、平等な強さとなる。そのため、これをばねとして用いると有効であるが、幅の広い板は場所をとるなどの不都合があるので、これを一定の幅に切断して重ね合わせたものが重ね板ばねである。鉄道車両自動車車体を支える部分などに使用される。車体を支持すると、ばねはたわむので、あらかじめ反りを与えた両端支持の形のものが多い。

[林 邦夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「重ね板ばね」の意味・わかりやすい解説

重ね板ばね
かさねいたばね
laminated spring; leaf spring

帯状のばね板を重ね合わせたばね。板の曲げに対する弾性を利用したもの。基本構造は,幅が等しくて長さの異なるばね板を順次重ね合わせ,互いにずれないように胴締とセンタピンで束ね,両端に荷重を支持するために丸く巻いた目玉部を設ける。ばねの変位と荷重との比例関係は,コイルばねよりも劣るが,取り付け高さが低く,負荷容量が大きく,ばね板相互間の摩擦力で振動も減衰させることができる。自動車や鉄道車両の懸架ばねとして広く利用される。材料には主としてばね鋼鋼材が用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内の重ね板ばねの言及

【ばね】より


[用途]
 ばねの用途は振動や衝撃を吸収してやわらげる緩衝用,復元力を動力源とする動力発生用や位置の復帰用,物をはさみ締めつける締結用などに大別される。(1)緩衝用 自動車,鉄道車両には,車輪の振動を車体に伝えるのを防ぐためにコイルばね,重ね板ばね,空気ばねなどがダンパーとともに使われている。自転車のリムとスポークは,緩衝用のばねとしての働きもしている。…

※「重ね板ばね」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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