量子コンピューター(読み)リョウシコンピューター

デジタル大辞泉 「量子コンピューター」の意味・読み・例文・類語

りょうし‐コンピューター〔リヤウシ‐〕【量子コンピューター】

quantum computer量子力学原理を応用したコンピューター量子力学的な重ね合わせの状態にある量子ビット演算基本単位とすることにより、スーパーコンピューターをはじめとする従来型の古典コンピューターとは比較にならないほど、高速な並列計算が実現できる。量子計算機。→量子超越性誤り耐性型汎用量子コンピューター
[補説]理化学研究所などの開発した国産初号機が令和5年(2023)3月に稼働クラウドを通じて外部から利用できるサービスを開始した。

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共同通信ニュース用語解説 「量子コンピューター」の解説

量子コンピューター

光や原子電子など「量子」と呼ばれる極めて小さな物質性質を利用する計算機。通常のコンピューターが情報の最小単位「ビット」を0か1で表すのに対し、量子コンピューターは0と1が混ざった状態を利用する。そのため量子ビットの数を増やせば、扱える情報量が飛躍的に上昇し、暗号技術に用いる素因数分解など複雑な計算を超高速で解けるとされる。「超電導方式」「イオントラップ方式」「光方式」などさまざまな手法がある。

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知恵蔵 「量子コンピューター」の解説

量子コンピューター

量子力学の波動関数の重ね合わせを利用して、0と1の2状態のどちらかに限定されている従来のデジタルコンピューター限界を破り、高速処理を実現しようとする研究。量子状態は0と1の両方の状態が重ね合わされているので、出力の波動関数を適切に分離できれば、多数の組み合わせを同時並列に計算できたことになる。1980年代に量子計算の基本的なアイデアが提唱されたが、並列性の利用方法などが不明のまま、94年、P.ショアは量子コンピューター特有のアルゴリズムによって素因数分解が高速に行われることを示し、量子論理ゲートの研究も進んだ。実現までには、まだ多くの課題が残っている。

(星野力 筑波大学名誉教授 / 2007年)


量子コンピューター

量子世界の状態の重ね合わせを情報の並行処理に生かす次世代の高速計算機。1982年、R.ファインマンが量子力学の再現装置として提案、85年にD.ドイチュが基本理論を示した。量子力学に現実感を与え、世界像を揺さぶりそう。量子ビット(qubit)を担う素子をn個つなげば2のn乗の状態が重なる。得意技は情報検索や素因数分解。94年にP.ショアが量子計算による素因数分解法(ショアのアルゴリズム)を提示、2001年、米IBMグループは、原子核スピンの7qubit系で15を分解した。固体素子の2qubit系もある。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「量子コンピューター」の解説

量子コンピューター

現在のコンピューター以上の処理速度が発揮されるように研究・開発が進められている、量子力学の原理を応用したコンピューター。

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世界大百科事典(旧版)内の量子コンピューターの言及

【コンピューターアーキテクチャー】より

…しかし,そのアイデアは一部スーパースカラー方式やマルチプロセッサーなどに生かされている。データフローコンピューターが非ノイマン型コンピューターの代表例であるが,他に光コンピューターや量子コンピューターなども研究されている。
【コンピューターアーキテクャー用語集】
CISCとRISC個々の機械命令の機能レベルを高く設定した方式をCISC(Complex Instruction Set Computer),低く設定した方式をRISC(Reduced Instruction Set Computer)と呼ぶ。…

※「量子コンピューター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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