金埼・鐘崎(読み)かねざき・かねざき

日本歴史地名大系 「金埼・鐘崎」の解説

金埼・鐘崎
かねざき・かねざき

現鐘崎に比定される。岬名・村名・浦名としてみえる。岬は響灘と玄界灘の境界にあるかねノ岬にあたる。宗像地方の海岸線の最北端で、対岸島との間の海は暗礁が広がり、航海上の難所であるとともに海上交通の要衝とされた。織幡おりはた神社が鎮座する。「万葉集」巻七に「ちはやぶる金の岬を過ぎぬともわれは忘れじ志賀皇神」の歌が収められ、神の心に逆らうと難船すると信じられていた。当地域は「和名抄」所載の宗像郡海部あま郷にあたるとする説があり、「志賀の皇神」(志賀海神社)を祀り「海人の宰」(「日本書紀」応神天皇三年一一月条)とされていた阿曇氏に率いられた海人集団が居住していたとも考えられている。「源氏物語」玉鬘巻には「鐘の御崎を過ぎても、我は忘れず、など世とゝもの言種にて」とあり、「万葉集」の前掲の歌(またはその元となった古歌謡)が広く世に流布していたことを示す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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