朝日日本歴史人物事典 「金道」の解説
金道
生年:生年不詳
桃山・江戸初期の京の刀工。美濃(岐阜県)の関鍛冶兼道の子で,文禄年中(1592~96)京に出て,西洞院夷川で作刀した。文禄年中に伊賀守を受領し,作品にみる年紀は天正9(1581)年が最も古く,日光東照宮に奉納した太刀の寛永3(1626)年が下る。弟に来金道,丹波守吉道,越中守正俊がいて三品派をなしたが,特に金道家は幕末まで10代を数える。2代目以降は日本鍛冶惣匠を名乗り,諸国の刀工の官名受領について朝廷との仲立ちを行い,絶大な権威を持った。作風は南北朝時代の美濃の志津をねらった沸の強い湾れ刃を焼くが,特徴的なのは湾れこんで先が尖って返る帽子(切先の刃文)で,三品帽子と呼ばれ,一派の見所となっている。
(原田一敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報