日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄衛団」の意味・わかりやすい解説
鉄衛団
てつえいだん
Guarda de fier ルーマニア語
Iron Guard 英語
第一次・第二次両世界大戦間のルーマニアで勢力をもったファシスト団体。1923年にヤーシ大学のクーザ教授が結成した反ユダヤ主義団体の一員であったコドレアーヌは、27年に「大天使ミカエル」軍団を設立、その戦闘組織として30年に鉄衛団を結成した。鉄衛団は、ドイツ、イタリアのファシズムと比べ、反共、反ユダヤ主義、指導者崇拝などの共通性をもつと同時に、農民的、宗教的、神秘主義的な特色をもち、個人テロを多用した。カロル2世は道具になると考えてそれを育成したが、38年に独裁制を敷き、コドレアーヌを殺害したので、テロの応酬が発生した。鉄衛団の指導者シマは40年9月にアントネスク政権に入閣したが、テロを続行したので41年1月に解体された。
[木戸 蓊]
『S・ウルフ著、斉藤孝監訳『ヨーロッパのファシズム 上』(1974・福村出版)』▽『E・ウェーバー著、平井友義・富岡宣之訳『ファシズムの思想と行動』(1979・福村出版)』