日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄道職員」の意味・わかりやすい解説
鉄道職員
てつどうしょくいん
鉄道事業において輸送用役の生産、販売ならびにそれと関連する職務に従事する職員。現業機関の職員と管理機関の職員とに大別される。現業職員の労働条件は、鉄道労働自体の特質から一般の労働と異なる特殊性がある。(1)鉄道労働は多様性と複雑さをもつ。運転、保線、信号保安、通信、運輸など多くの職種からなっている。(2)労働時間は他の産業と比較し長時間かつ変則的である。職種と勤務形態の多様さに応じて複雑多岐にわたっている(夜勤、三交代勤務、一昼夜交代勤務など)。(3)労働環境の面でも騒音、振動、汚染を必然的に伴い、自然的条件に直接的な影響を受ける。しかも、需要の波動性によっても規制される。
鉄道職員の労働組合は、以前の国鉄(現、JR)の場合は国営企業労働関係法によって争議行為は全面禁止とされていた(現、行政執行法人の労働関係に関する法律)。しかし、1987年(昭和62)4月、国鉄が分割・民営化されたのに伴い、JR職員は他の私鉄の職員と同じく労働関係調整法(昭和21年法律25号)によって争議行為の制限を受けている。
[松尾光芳]