保線(読み)ホセン

デジタル大辞泉 「保線」の意味・読み・例文・類語

ほ‐せん【保線】

列車の安全な運行のために、鉄道線路保守・維持すること。また、その業務。「保線工事」

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精選版 日本国語大辞典 「保線」の意味・読み・例文・類語

ほ‐せん【保線】

  1. 〘 名詞 〙 常に列車の運転支障のないよう、鉄道線路管理・保護し、安全を保つこと。
    1. [初出の実例]「運輸保線に従事する鉄道員の駐在所等の建設に要する土地」(出典:私設鉄道法(明治三三年)(1900)四一条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「保線」の意味・わかりやすい解説

保線
ほせん

安全で円滑な輸送を確保するために線路の構造・機能を維持管理すること。材料交換、材料・軌道補修と、これに伴う作業がある。(1)材料交換作業 〔1〕レール交換 長期間使用して摩耗損傷腐食などで列車の安全運転確保が困難となったレールの交換作業。〔2〕分岐器交換 古くなった分岐器全体を枕木(まくらぎ)ごと交換する作業。分岐器は多くの部品によって構成されているので部分的な摩耗なども生じやすく、部品を交換する部分交換作業もある。〔3〕枕木交換 腐朽、食い込み、割裂(かつれつ)、折損などにより、レールからの荷重を均等に道床に分布できなくなった枕木を交換する作業。〔4〕道床交換 道床を形成する砕石砂利土砂や噴泥が混入して、枕木の受ける荷重を路盤に分布させる作用が阻害された場合、枕木下面から路盤までの道床を撤去して新しい道床と交換する作業。

(2)材料・軌道補修作業 〔1〕レール締結装置補修 レールを枕木に締着させて軌間を保持し、列車荷重を枕木、道床、路盤に伝達する締結装置の補修作業である。ボルトの締め直し、軌道パッド直しなどがある。〔2〕道床補充 線路の状況変化によって道床面が規定の寸法より減少したとき、砕石などを散布して整理する作業である。総突き固め、軌間直し、通り直し、遊間直しなどがある。総突き固めは、列車走行の衝撃で道床が緩み、レール面にたるみが生じた場合、枕木下の道床を突き固める作業で、マルチプルタイタンパーやタイタンパーが用いられる。軌間直しは、左右のレールを所定の軌間寸法に保持する作業。通り直しは、軌道を直線部ではまっすぐに、曲線部では同じ半径の円度に保持する作業。遊間直しは、レールの継ぎ目部の間隔(遊間)を正規に保持する作業である。

(3)その他の作業 軌道材料、作業用機器などを軌道モーターカーやトラックなどで運搬、整理する運搬作業、除雪作業、標識類を交換、整備する諸標作業、機器作業、踏切作業など多くの作業がある。また、以上の作業を効率的に実施するための線路の検査や調査も重要な作業である。

[杉下孝治]

『菅原操編『図解鉄道保線・防災用語事典』(1980・山海堂)』

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百科事典マイペディア 「保線」の意味・わかりやすい解説

保線【ほせん】

鉄道の線路,建造物,保安設備などを,常に運転に支障のないように保守管理すること。おもな作業はレール面の水平や左右の狂いをなおすための道床突固めで,ふつう,列車運行の間を縫って,または深夜に行われ,最近はマルチプルタイタンパーなどの大型保線機械も使われる。そのほか線路巡回,設備更新,除雪,落石警戒などの諸作業がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「保線」の意味・わかりやすい解説

保線 (ほせん)

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世界大百科事典(旧版)内の保線の言及

【鉄道】より

…ただし列車の走行により軌道に狂いが生じたり,道床が固結して弾性が低下した場合には,つき固めなどにより適正な状態に復元させることが必要である。こうした道床関連作業は保線作業の中に占める比率が最も高く,こうした保守量をできるだけ少なくする目的でいくつかの新しい軌道(通常,省力化軌道と呼ばれる)が開発されている。なかでもコンクリート路盤上に長さ5m,幅2m,厚さ20cm程度の鉄筋コンクリート版(スラブ)を敷き並べ,その上に弾性締結装置を介して直接レールを敷設するスラブ軌道は高速鉄道用軌道として実用化されており,東北,上越新幹線の約90%がこの構造である(図2)。…

※「保線」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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