労働関係調整法(読み)ろうどうかんけいちょうせいほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働関係調整法
ろうどうかんけいちょうせいほう

昭和 21年法律 25号。労働関係の公正な調整をはかり,労働争議を予防し,または解決して,産業の平和を維持することを目的として制定された法律。労働組合法労働基準法とともにいわゆる労働三法の一つで,労調法と略称される。労働争議は関係当事者の自主的解決を本旨とし,政府は当事者の自主的調整に対し側面から助力することをその責務とすることを明らかにし,労働委員会による斡旋,調停,仲裁および緊急調整の4種の労働争議調整手続を定めている。そのほかに安全保持の施設の正常な維持,進行を阻害する争議行為の制限または禁止,公益事業の争議予告などの規定が盛られている。

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デジタル大辞泉の解説

ろうどうかんけいちょうせい‐ほう〔ラウドウクワンケイテウセイハフ〕【労働関係調整法】

労働関係の公正な調整を図り、労働争議の予防または解決を目的とする法律。労働争議について自主的解決を原則としながら、斡旋(あっせん)調停仲裁緊急調整の四つの調整方法を定め、また争議行為の制限・禁止などを規定。昭和21年(1946)施行。

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百科事典マイペディアの解説

労働関係調整法【ろうどうかんけいちょうせいほう】

労働組合法と相まって労働関係の公正な調整を図り,労働争議を予防・解決し,産業の平和を維持することを目的とする法律(1946年)。労使間の紛争の解決に当たって,自主的解決を原則としつつも,国家の援助あるいは介入を認めたもの。調整方法として斡旋(あっせん),調停仲裁緊急調整の4種を定め,公益事業等に対する争議行為の制限や禁止規定を設けている。ストライキ権を奪われた公務員・地方公営企業労働者には適用されない。
→関連項目強制調停公益事業公共企業体等労働関係法労働基準法労働争議労働法

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうかんけいちょうせいほう【労働関係調整法】

労使関係に発生する労働争議調整制度の原理とその諸手続を主として規定するほか,一定の争議行為についての制限をも規定する法律。1946年公布。労調法と略す。労使の自治を原則とする近代的な集団的労働関係法である労働組合法を補完する性格の法律で,この2法に労働基準法を加えたものがいわゆる労働三法である。 労働争議調整の原理は,第1章に示されている。すなわち,労使関係の当事者が自主的な努力によって労使関係を適正にし,労働争議を解決することが原則であり,かかる自主的な調整に対して政府が労働委員会を通じて助力を与えるだけである。

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大辞林 第三版の解説

ろうどうかんけいちょうせいほう【労働関係調整法】

労働関係の公正な調整をはかり、労働争議を予防または解決することを目的とした法律。1946年(昭和21)制定。労働争議についてその自主的解決を原則として、労働委員会による調整方法として斡旋・調停・仲裁・緊急調整の四種を定め、また争議行為の禁止・制限などを規定する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働関係調整法
ろうどうかんけいちょうせいほう

労使関係における紛争処理について定めた法律。昭和21年法律第25号。略称、労調法。

沿革

第二次世界大戦前には労働争議に関する法律として、1926年(大正15)4月制定の労働争議調停法がある。同法は、労使紛争を解決することを目的とするものではなく、むしろ労働争議を国家権力によって弾圧することに利用され、治安立法的色彩が強かった。実際に同法が適用されたケースは少なく、戦前におけるおもな労使紛争解決手段は、「サーベル調停」とよばれる警察力による労働争議の弾圧であった。戦後の1945年(昭和20)12月に旧労働組合法が制定され、労働運動の解放と助成が図られた。当時の経済状況を反映して多くの労働争議が発生し、1946年日本国憲法が制定された同じ国会において、旧労働関係調整法が制定され、同年10月13日から施行された。旧労調法には、公益事業の争議予告制度、非現業公務員の争議行為禁止などが含まれていたが、のちにそれらの規定は公務員法などで定められることとなった。旧労調法はその後1949年6月に改正され、さらに1952年7月の緊急調整制度を新設するための改正を経て、現行法に至っている。[村下 博・吉田美喜夫]

内容

現行法は、総則、斡旋(あっせん)、調停、仲裁、緊急調整、争議行為の制限禁止等の各章から構成されている。これらを大別すれば、争議調整と争議行為の制約からなっている。労調法の目的は、「労働組合法と相俟(ま)つて、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もつて経済の興隆に寄与すること」(1条)にある。ここでいう労働争議の調整は、まず原則として当事者間における自主的解決を図り、もし当事者間の主張に不一致が生じた場合には国家権力(政府)が自主的調整を助成して争議行為を防止するものとされている(2~4条)。労働争議の調整が原則として当事者の自主的解決にゆだねられているのは、国家権力が労使紛争に強権的に介入すると、かえって真の紛争解決とならないからである。
 ところで労調法は、争議調整方法として、労使の自主的解決を原則としつつ、斡旋、調停、仲裁、緊急調整を規定している。斡旋は斡旋員によって行われ(10条以下)、調停は調停委員会によって行われる(17条以下)が、両者とも労使の当事者を拘束することはない。仲裁は、その裁定が労働協約と同一の効力を有しており、労使双方を拘束するものである(29条以下)。さらに緊急調整制度は、この制度の導入の経緯からしても、また労働争議調整の原則からしても例外的かつ特殊なものである。緊急調整は、「事件が公益事業に関するものであるため、又はその規模が大きいため若(も)しくは特別の性質の事業に関するものであるために」(35条の2第1項)、争議行為によって国民経済の運行の阻害または国民生活を危うくするおそれがある場合に限って、内閣総理大臣が中央労働委員会の意見を聞いて決定するものである。
 労調法による争議行為の制限禁止は、公益事業における争議行為の予告(37条)、緊急調整の際の争議行為の禁止(38条)、調停案受諾後の争議行為の制限(26条)、安全保持施設の停廃を伴う争議行為の禁止(36条)などである。なお、労調法は公務員労働者の労働争議および争議行為には適用されず、それらには行政執行法人の労働関係に関する法律、地方公営企業労働関係法などが適用される。[村下 博・吉田美喜夫]
『野村平爾・中山和久著『法律学全集48 労働関係調整法』新版(1987・有斐閣) ▽萬井隆令・西谷敏編『労働法1――集団的労働関係法』第3版(2006・法律文化社) ▽厚生労働省編『労働組合法・労働関係調整法』5訂新版(2006・労務行政)』

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世界大百科事典内の労働関係調整法の言及

【労働法】より

… 集団的労働関係に関しては,労働組合の正当な活動や争議行為に対する刑事・民事免責を定め,そうした活動に対する使用者の妨害や団体交渉の拒否を不当労働行為として禁止したうえで労働委員会による特別の救済手続を設け,さらに労働協約の強行・直律的効力や拡張適用を定め(労働組合法。1949公布),労働争議の自主的解決を促すため労働委員会によってその調整を図り(労働関係調整法。1946公布),ある種の産業や労働者の争議行為に関して特別の規制を行い(〈電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律〉。…

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